ブーちゃんに最初に会ったのは、2000年の暑い夏の日でした。
ブーちゃんは「わぁ〜かわいい仔ウサギちゃん!」じゃなくて、
ヨボヨボ、デブデブ、ボロボロな6才のウサギでした。

ブーちゃんとの出逢いはある一本の電話からでした。
いつもお世話になっている動物病院の先生からの・・・
『海外に引越しされるので、連れて行けなくなったウサギを
安楽死させてほしいって言っている方がいるんですけど・・・』
こりゃ一大事だ!と、安楽死なんて・・・
と、色々な方々にもご協力をお願いして、
里親さん探しの協力をするために奔放することになります。

里親さんへ渡す前に健康診断を、と言うことで病院へ来るというので、
僕も見に行くことにしました。
で、8月3日、出会ったのが、ボロボロの白いウサギでした。

えーと、頭の方向から順番に書き出すと・・・
涙目。涙に土が付いて汚れている。歯も悪くヨダレをたらしていて、
口の周りも汚れている。
背中の筋肉が落ちていて、背骨がゴツゴツしているし、背骨は湾曲している。
ゴツゴツなのに体中が脂肪の塊みたいなヤツでブヨブヨ。
全身も、白いウサギでしたが、土や埃で茶色く薄汚れています。
(見た目じゃ分からなかったですが)子宮にはガンが、な、なんと5個も!
ブーちゃんは、元々は室外で飼われていたウサギで、
台風やらのひどい天気の日以外はずーっと玄関先の外で暮らしていたそうです。
暑い日は日よけを、雪が降るとダンボールでケージを囲ってもらっていたそうです。
近所の猫ちゃんも遊びに来ていたそうですし、カラスくん達もお友達だったことでしょう。

ブーちゃんを始めて見た僕は、ため息が、思いっきり大きいため息が出ました。
6才にもなりますし、
かつ、このボロボロウサギじゃなぁ、里親さんなんて見つかるかしらん?と。

里親募集の写真。表情がないので、別のうさぎのように見えます


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健康診断で見つかった子宮のガンの摘出手術をすることになりましたが、
ここで最初の一悶着がありました。ブーちゃんの飼い主さんは、
『手術をするなんてかわいそう!やっぱり安楽死を!』
おいおい!手術をしてガンを摘出すればまだまだ生きられるぞー!
って、先生と一緒に飼い主さんを説得をして、ガンの摘出手術をしていただきました。
手術は無事に終わり、5個ものガンに侵された子宮が摘出されました。
ふぅ〜っ・・っと、一段落か!?と思いきや、今度は。
『私には看護ができません』って言い出す飼い主さん。。。
暑い、真夏の最中なのに、
家の中にも入れてもらえないそうです。
おいおい!じゃ、僕が預かるから!って、
ブーちゃん、8月8日エリザベスカラーをして我が家に来訪することになりました。

術後、エリカラつけて療養中。がんばったねぇ。。。


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手術の後は、順調に回復をしていたブーちゃんですが、
ある朝、ケージの中に赤いものを発見!あ!出血してる!!!
オシリから出血があります、これは一大事だ!!!と慌てて動物病院へ駆け込む!
診ていただいた結果、肛門付近に何かの腫瘍があり、そこが破れての出血でした。
人間でいうところの「疣痔」(イボヂ)ってな感じでしょうか!?
(術後の組織検査では悪性ではなく、良性の腫瘍でした。)
で、またまた手術になることに。。。
手術の許可をもらいに飼い主さんのところに電話を。
『再度手術なんて、もっとかわいそうです、やはり安楽死を・・・』
普段は、柔和な院長先生がここで切れちゃいました!
『うちでは安楽死は治療として考えていません。手術をすれば何でもないことで、
どうしても安楽死をご希望なら他の病院へ行ってください!』
わぁーかっこええ〜!せんせー!
同じく僕も切れちゃいまして「じゃ、うちでこの仔はもらいますから!」
って、言っちゃいました。。。あーあ。

「あんたも物好きだねぇ・・・」


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と、言うことで、2000年の8月16日。
晴れて(?)ブーちゃんは我が家のウサギとなったのでした。
名前は、元のものがありましたが、改めてつけちゃう、ということで、
何をしても、ご飯をあげても、ブーブーと怒っていたところから、
「ブー子」ってつけちゃいました。
その後『そんな名前じゃかわいそうだよー!』とおっしゃる長寿うさぎの会の愛子さんが
ブー子の後に名前を付けてくれました。
そんな名前でかわいそう!とおっしゃるわりに、
『かわいい、でも、言いにくい名前付けちゃうからね、えへへ』とのことで、
「ブー子・ジュヌビエーブ・ド・軍手」
なる妙竹林な名前となったのでした。
あ、足袋には軍手でしょ!ってことですね。

我が家だよ。家族だよ。


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我が家の一員になったブーちゃんでしたが、それからはリハビリの毎日でした。
ずーっと狭いケージに閉じ込められていた生活だったからか、筋肉がすっかり落ちています。
それをなんとかしなければ。。。

ブーちゃんは、それまでの6年間ペレットだけの食生活でした。
土日、元飼い主さんがお休みの時はお庭に放されて遊んでいたようで、
その時に雑草なんぞを食べたりもしていたそうです。
そのペレットもですが、元飼い主さんに見せられて僕はびっくり!
フスマ、燕麦、トウモロコシ・・・まるでミックスナッツのようなペレットです。
それじゃ太るわけです、
我が家に来た当初、体重は3キログラムありました。
その後、ダイエットをして、2キログラムまで落とすことに成功しました。
子宮の手術をしていただいた先生も、
『今まで見たウサギの中でも、3本の指に入るような体内の脂肪のつき方でした・・。』
とまで言われていました。

「体重の話はないしょよお」

後で分かったことですが、カロリーオーバーだったのか、
脂肪分を多く摂りすぎていたからか、動脈硬化までなっていました。
それに、狭いケージに入れられて、体を伸ばすことも困難だったのかも知れません。
背骨が曲がっています。
運動不足からちゃんとジャンプして走ることができず、ヨタヨタ歩きです。
う〜ん?悩みました。
でも、唯一の救いがブーちゃんが食いしん坊だったことかも知れません。
膝の上に大好きなペレットを置いて、
「ほしかったらここまでおいで!」って繰り返しました。
膝に登る、それだけでもリハビリになるはずです。
最初は相変わらずブヒブヒ怒って近寄ることもしませんでしたし、
抱っこしようとすると、失禁してしまうほど人間を怖がっていました。
でも、次第に物ほしさから手から直接ペレットを食べるようになり、
膝にも登ってくるようになりました。
それにつれ、足腰もしっかりしてきて、ちゃんとジャンプできるようになってきました。
めったになかったですが、全力疾走するとこれが豪快で、
ドタドタと、すごい音と勢いで走りまわれるまでになりました。
おまけにその後、僕が寝転んでいると、
お腹の上に登ってきて、お昼寝をすると言う、
かわいい特技も覚えてくれました。

表情も変わってきました


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我が家には足袋と言うやんちゃ坊主なウサギがいます。
普通、ウサギはウサギ同士で仲良くなるのは難しいと言われています。
ルドルフと足袋も、相変わらず仲が悪いですしね。
でも、ブーちゃんは世渡り上手だったのでしょうか?
年下の足袋なのに、いつも下手に出て、頭を足袋の体の下に押し込み
「なぜて〜!」を繰り返していました。
これが功を奏したのか?何時の間にか仲良いウサギ同士となっていました。

それから一年が過ぎようとしていました。
ブーちゃんは、今まで野菜を食べたことは無かったようですが、
何でも好き嫌いなく食べてくれるようになっていました。
子宮ガンが見つかり、摘出していただきましたが、
あまりにもたくさんのガンがあったので、余命半年とも言われていましたが、
でも、毎日元気に過ごしていました。

足袋が寝ていると、ブーちゃんが寄り添ってきます


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常々僕は、ウサギには不思議な力が備わっている、って思っていますが、
ブーちゃんには正にその不思議な力が備わっていたのかも知れません。
まるでウサギ超能力者のような。

窓辺にいて、外を見ていることが多くなりました

それは2001年の秋、そろそろ冬の足音も聞こえてくる頃の話です。

何を考えているの?

朝、気がつくとブーちゃんが涙を流しています。
大好きな野菜も食べる勢いがあまりありません。
これは歯が悪くなったな!?と、すぐに動物病院に連れて行きました。
案の定奥歯が悪く、溶けてしまったような状態になっていました。
抜歯をした、と言うよりも、勝手に抜けてしまった、と言うような感じで、
簡単に抜けてしまったそうです。
歯の処置をしていただきましたが、食欲がイマイチ戻らず、
強制給餌をしたり、食べやすいように柔らかい食事内容に変えてみたりしました。

足袋に涙をなめてもらっています

それから10日ほどして、
その後、急にブーちゃんの様態が悪化しました。

つらそうです・・・


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喉のところがプクッと腫れ上がっているのに気が付きました。
それが痛いのか?歩くのも辛そうです・・・
今となっては原因は不明ですが、喉の部分、ちょうどメスのウサギの肉すいができるあたりに
何か水がたまっているようです。かなり苦しそうです。
その水を抜いて楽になるように思い、動物病院で注射で抜いていただきました。
抜いた水は、緑色をした液体で、とてつもなく臭いものでした。

ステロイドの注射を打っていただいたりして、一時的にブーちゃんは楽そうになりました。
でも、その時の検査で撮っていただいたレントゲンで、
肺にいくつもの影があるのが見つかりました。

がんばっています


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なぜか、ウサギの子宮にできたガンは肺に転移しやすいのだそうです。
場所的にも、距離がそれなりにある子宮と肺。
子宮ガンの手術をしていただいたときに先生は、ブーちゃんの余命を
あと、約半年・・・と予想されていました。
それは、子宮ガンが肺に転移する確立が高く、
ガンが肺に転移するとウサギはどうしようもないからです。
その余命半年というのは、
これもなぜか半年後の肺への転移が見つかることが多いのだそうです。
でも、ブーちゃんは頑張りました!あれから一年と少し。

足袋が野菜を好きになったのは、ブーちゃんのおかげなんです・・・

ブーちゃんは、日毎に呼吸が苦しそうになり、
足も動かなくなっていき、
僕ら夫婦が見守る中、2001年10月31日に息を引き取りました・・・
こんな体でも、ブーちゃんは一生懸命頑張っていたのだと思います。
体中、きっと辛かったと思います。
その辛い体で、
もうほとんどまともに歩くこともできなかったのに、
寝転んでいた僕のお腹の上に登ってきてくれました。
最期の挨拶をしにきてくれたのだと思います。
僕の心の中には、その時にはっきりと聞こえてきました。
『ありがとう、さよなら・・・』
って。

お腹の上で撫でられるのが大好きでした。最後のお腹乗り・・・


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僕は、今までにたくさんのウサギ達と付き合ってきました。
ブーちゃんは、うちに来たころ、
ブーちゃんと言う名前をつけられてしまったぐらいにブーブーと怒るウサギでした。
それが、日々接していくごとにとても優しく、かわいく、
かしこいウサギだったことが分かってきました。
一言で言うと「いいヤツ!」なウサギでした。
たった、1年とちょっとの付き合いでしたが、
僕には一生忘れられないウサギになりました。
今でも、あのすっとんきょうな表情を思い出します。
背中の、曲がったゴツゴツした背骨も、ヨタヨタした歩き方も、
でも、走るとドタドタと部屋中を疾走する姿を・・・。






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