◎ 2004年4月1日 ◎

ルドルフの誕生日。
もうだめかと思っていたが、夜中の0:00にしっかり8歳を迎えた。

水もほとんど飲まず、にんじん葉もいらない。
鼻は開きっぱなしで口も半開き。目もうつろ。体温も低い。
時々ベッドの上を動き回り、隠れたがるので
その都度、酸素チャージャーも移動する。

意識もどこまではっきりしてるのかわからない。
2人で寝ずに付き添う。

苦しがるたび、なでてやり、話しかける。
辛かったら、もういいよ・・・がんばらないでいいからね・・・

長いような短いような夜が明け、朝になった。
半ば諦めていた飼い主をよそに、
ルドルフも朝を迎えた。

夜中、あれほど苦しそうにしていたのに、
一晩で毛ヅヤもすっかり落ちてしまったのに、
差し込んでくる朝日に向かって、しっかり立ち、胸をはっていた。

本当に、すごいと思った。
何よりも、尊いものだった。

ルドルフはこんなに頑張っている。
生きることに真直ぐだ。
なのに飼い主が先に諦めたりしたら、ルドルフに申し訳ない。

9:00。何かできる事はないか?といつもの先生に電話してみる。
できることはあまりないけれど、せめて痛みを和らげるためのステロイドと
酸素室での酸素吸入はできます、ということで連れて行く。

もしかしたら、場所によっては
心臓の近くに針を刺して、血液だか水だかを抜くことができるかも?との話もあったが
再度診てもらって確認してもらったが、ルドルフの場合は無理だったようだ。
淡い期待を抱いたぶん、落ち込みは大きかった・・・。

16:00まで酸素室に入れてもらうことになり、
家でも簡易酸素室を作った方がいいとのことで、どうしたらよいか教えてもらう。
預けている間に用意しよう。

フタするタイプの衣装ケースを買ってきて、
フタの部分のはしっこに酸素の入り口の穴をひとつ、
対角線上のはしっこに、空気の出口の穴を3つほど開け、
入口の穴には酸素チャージャーのチューブを差し込む。
底にはタオルとペットシーツを敷いた。
(詳しくは「うさぎの健康手帳」内の「ご家庭でできる酸素室介護」ページへ)

酸素チャージャーは30%濃度の酸素が出る。
病院の酸素室でも30%くらいなので、酸素缶と併用しながらなら、
なんとか大丈夫そうだ。
酸素濃度は高すぎるのを長時間吸わせるのも体に良くないので、30%がちょうどいいらしい。
ただ、この酸素チャージャーの問題点は、タイマーがついていて、
30分経つと切れてしまうため、切れる前にボタンを押さないとならないこと。
ほとんど15分ごとにチェックして、タイマーを戻すことになる。
まぁ、どうせ付っきりだし・・・仕方ないか(汗)

16:00に迎えに行き、連れて帰る。
簡易酸素室に入ってみてもらうと、
やはり楽なのか?時々息はあがるものの、顔つきなどはいい。
ゆっくりしっかり少しずつ野菜を食べる。

簡易酸素室の問題点は、
湿気が隠ってしまうのと、温度が高めになること。
尿が出ると一気に湿度が上がり、ケースが曇る。
温湿度計を入れ、外からも見えるように置き、
湿度が高くなったら、ペットシーツを取り替える。
なるべくルドルフを移動させたくないのだが、
ケースから出さないとペットシーツを替えられないのが難しいところ。
押し入れの除湿剤なども考えてみたが、
害がないかどうかが不安でやめた。
春だからまだ良いが、夏なら考えものだ・・・。
(現在は、ペット用の酸素室セットを貸し出している会社も出て来た。
 使用した友人に聞いてみたら、全面アクリル製のため様子がよく見えるし、
 風を通す穴があって通気性もよく、なかなか良いとのことだった。
 看護は飼い主も体力勝負だ。しなくて良い無理はしないほうがいい。
 対応してくれる会社がある地域ならば、そちらをお勧めしたい)

お腹がやっと動き出したのか、
白い糞が出たあと、少しずつ糞が出るようになる。
尿もたくさん出た。

旦那さんは今日からまた「夜勤生活」。

◎ 2004年4月2日 ◎

ニトロールは今までの倍量に増やすことになった。
深夜の様子は、呼吸は荒いが目つきは良く、野菜もぼちぼち食べている。
日中は寝ていてほとんど食べない。

天気も不安定だし、今日は調子が悪そうだ。
やはりステロイドのおかげで昨日は調子良かったようなので、
今日も病院に連れて行くことにする。
毎日ステロイドっていうのもどうなのか?だが
ルドルフが楽になるなら・・・と思う。

午後の診療時間に合わせ、ルドルフを連れて行き、
ステロイドと酸素室でのリフレッシュ。
帰宅の際には、キャリーごと大きなビニール袋に入れ、
袋の中には酸素をたくさん入れていただいた。
これで家に帰るまでの酸素濃度が保てる。
ありがとうございます!

二人で交代制の看護生活なため、二人でいる(起きている)時間がほとんどない。
薬の時間やペットシーツ交換のタイミングなど、
情報の伝え漏れがあるといけないので、時間と様子等のメモを残すようにした。

23時過ぎ、ペットシーツを替える際、
糞が小さく、おしりもやわ糞で汚れているので拭き取る。
ケースに戻すと横になって息があがっていて、
寝ているだけか苦しいのかわからず心配する。

やはり、ペットシーツの交換は体力的につらいようだ・・・。

◎ 2004年4月3日 ◎

深夜をまわると少し食べ出す。
やはりルドルフは夜行性か?

藁にもすがるような、お守りのような気持ちで
ケースの上に盛り塩を置いてみた。
塩を軽く煎ったものを、小さく小山に盛って。
水の流れが悪くなっているルドルフに、
塩の神様が味方してくれますように・・・。

酸素チャージャーのタイマーのプレッシャーが相当きつい。
何とかタイマーを作動できなくする方法はないものか?と思い、
ダメもとで改造に踏み切ることにした(良い子はマネしないでね・・・責任もてませんので)。
そのため、今日は午前中から病院へ預かっていただくことにしたが・・・

改造しようと悪戦苦闘してみたものの、素人には手強くて断念・・・。
まぁ、ダメだということがわかっただけでも
腹をくくって看護できるから、良しとしよう・・・。

ルドルフは夕方帰宅後、お疲れか、安心したのか?眠っている。
夜起き出して、ペットシーツを取り替える際にケースから出すと
トイレへ自分で行き、牧草を食べるがふらついている。

ペレットをあげたら、すぐにたいらげたが、右目がちょっと涙目。

夜中、シーツ交換の際にケースから出してもヘタっている。
戻して野菜を入れても食べずに息があがっている。

調子の波がコロコロ変わる。

◎ 2004年4月4日 ◎

深夜、シーツ交換の際、トイレへ走る。
そこが落ち着くのか?

ペレットをよく食べる。
黄色いミニトマトを買って来たら気に入ったらしい。
今日はなんだかご機嫌で、ちょっとぼーっとしてはいるが
ここ数日の中では顔色もよく、愛想を振りまいていて
撫でてやるとうれしそうに舐め返してくれる。

が、舐めてくれる舌が、体温が低かった・・・。

午前中に通院。
預けてる間、二人で近くの川辺で待つ。
満開な桜も散りかけていて、一番きれいな日だった。
そういえば、看護に追われて花見どころじゃなかったな・・・。
リフレッシュしたルドルフと昼過ぎに戻る。

午後は野菜を良く食べる。

21:30にペットシーツ交換の際、トイレへ走って行き、シッコをした後
ぐったりとへたり込む。
ケースへ戻すが、かなり疲れている様子。
30分ほど様子を見て、薬をあげるが、ちょっと抵抗したためか、
息があがってぐったり。
どうも、いつもこのくらいの時間になると調子が下がる。
薬の効き目が切れるんだろうか?
30分後、少しだけ落ち着いたようなので、黄色いミニトマトを入れて
野菜の支度をしに台所へ。食欲で元気になってほしい。

途中、タイマー解除の際にのぞいてみるが、
ミニトマトを食べているのか、耳が揺れていてほっとする。

15分ほどで野菜を持って戻るが・・・
耳が揺れていないことに遠目からでも気がついた。
慌てて駆け寄り抱き起こすが、
身体は力が抜けていて、まだ温かいものの息はなかった。

私の声に、仮眠中の旦那さんが慌てて起きてきた。

ひざの上で、とびっきりの優しい瞳で笑っているルドルフを抱えたまま
声を上げて泣いた。
さっきまで、野菜を洗いながら、なんだかこんな生活がずっと続くような気がしていた。
波はありながらも、このまま10歳まで行けるんじゃないかと。
どんなに大変でもいい。そばにいてくれればいいと。
ゆるゆるとでも楽しんでくれればいいと。

黄色いミニトマトだけはしっかり食べていて、
それがルドルフらしかった。

満開な桜とまん丸な満月の夜でした。
最後の土日、一緒に過ごしてくれてありがとうね。



◎ 想うこと ◎

ルドルフが逝ってしまってから、もうすぐ3年になろうとしています。
なるべく早めに最後の通院記録をまとめなければと思いつつ、
こんなに時間が経ってしまったことをお許しください。

闘病生活を思い出すのが辛い、というよりも
書いたら忘れてしまいそうな気がして怖かったのです。
全部を覚えていたかったし、留めておきたかったんだと思います。
でも、書かなくても忘れていってしまうんですよね・・・人間って。
記憶があやふやになりながらも、メモやメールの記録のおかげで
なんとかやっと形にできました。

ペットロス、というのは防げるものでも逃れられるものでもなく、
なって当たり前のものだと思っています。
愛しいものを亡くすわけですから当然なのですが
まぁ、ホントにすごかったですね(苦笑)

心臓病のルドルフのためにしていた日課や習慣がたくさんあって、
いきなり「何もしてやれることがなくなった」ことや、
毎朝ベッドの上を楽しそうに一周したあと、
私が起きるまで顔をベロベロに舐めまくる奴の不在・・・。
1人暮らしの大変な時からずっと一緒だったルドルフは
私にとって戦友のような存在でした。
ルドルフのいない時間がどんどん増えていくのが許せなくて、
時間が止まればいいと思いましたし、
自分の身体の一部が抜け落ちたような気持ちでした。

それでもここまでなんとかやってこれたのは、一緒にがんばってくれた旦那さんや
病院の先生方、見守ってくれた友人たち、ムチムチの足袋や新入りの紬、
お先に月で待っててくれているであろう、先代のうさぎたち、
そして最後まで生きることに前向きだった
ルドルフのおかげです。

ありがとう。ありがとう・・・。

心臓病が見つかった後、
ルドルフから手紙をもらいました(どうみても友達の字なのですが)。
いつか結晶になるから、それまで、おとこまえになるために
自分を磨くんだ、と・・・。
立派なおとこまえになったね。
寂しさは言葉には言い表せないぐらい大きいけれど、
無事に送り出すことができて、よかったよ・・・。



うさぎの心臓病レポートを残すことで、
少しでも心臓病の早期発見につながり、うさぎさんたちが楽に暮らせるように、
そしてまた、無闇な心臓病診断で翻弄される例がなくなるよう
願ってやみません・・・。

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