うさぎの温熱療法


色々な症状に使える、温熱療法

以前、下半身が麻痺してしまったウサギを看護したことがありました。
その時に東洋医学を治療に取り入れてらっしゃる獣医さんに、
家庭でもできる温熱療法を教えていただきました。

温熱療法はそのようなどこかが麻痺しているウサギだけでなく、
斜頚のウサギ、お腹の具合が悪いウサギ、
その他どこかが具合が悪くて血流や血行が悪くなっているウサギにも効果があります。
また何らかの手術を受けた後の体温低下のような状態になっている場合にも使えます。

斜頚になってしまったウサギや、
体のどこかが麻痺してしまったウサギの看護はとても大変なものです。
飼い主としての看護も大変ですが、
それ以上に当のウサギが一番辛い思いをしているのだと思います。
斜頚ならばいつも同じ方向へ首を傾けているので肩コリのような状態になると思います。
そのような状態を軽減するのにも温熱療法は効果があります。

温熱療法で体を温めてあげると血行が良くなります。
そうなると患部や体全体の血流が良くなり、
コリや痛みを軽減する効果が期待できます。

ただし温熱「療法」と言っていますが、
けっして薬や手術のようなものとは違い直接に病気を治す方法ではありません。
あくまでも色々な症状を軽減する手助けをする方法だとお考えください。


ご用意するもの

「赤い和紙」と「ヘアドライヤー」をご用意ください。

 赤い和紙 30cm×15cm程度に切ります

和紙は赤いものであればどのようなものでもかまいません。
普通の赤い紙ではなく「赤い和紙」をご用意ください。
大きさは適当なものでかまいません。

和紙は普通の文具店では扱っていないことがあるようです。
和風の小物を扱っているお店や、
千代紙等を扱っているお店で扱っていることもありますのでお探しになってみてください。

和紙は水で濡らして使いますが、
少なくとも今まで使った和紙は濡らしても色落ちはしませんでした。
が中には水で濡らすと色落ちがする和紙もあるかも知れません。
事前に色落ちしないかどうかお試しになってみてください。

 ヘア・ドライヤー

ヘアドライヤーは普通にご家庭でお使いになられているものでかまいません。

先ず赤い和紙を切ります。
和紙を2重にして使いますので、
だいたい30センチ×15センチぐらいにお切りください。
それを二つ折りにすると出来上がりは15センチ×15センチぐらいになります。
サイズは厳密にこのサイズでなくてもかまいません。
それぞれのウサギの体の大きさや温熱療法を行う場所によってサイズを合わせてお切りください。


やり方

赤い和紙を水で濡らします。
水道水でかまいません。
和紙が破れない程度に絞ります。
和紙を半分に折ります(サイズは15センチ×15センチ程度になります)

@ウサギの幹部に濡らした和紙を当てます。

和紙を当てる場所は症状によりやや違います。
基本は脊髄(背骨)を中心とした位置ですが、
例えば「椎間板ヘルニア」との診断が出ている場合は背中を、
そのヘルニアになっている部分が分かるのならばその場所を中心にして赤い和紙を当ててください。
ヘルニアになっている位置が分からない場合は脊髄にそって背中の全体に
特に腰の部分を中心にするような感じで和紙を当てると良いと思います。
下半身が麻痺しているウサギの場合も腰を中心に和紙を当てると良いかと思います。

 このような感じで和紙を当てます

斜頚のウサギならば首筋辺りに当てたり、
胃腸の具合が悪い場合には胃の辺りの背中側、
ちょうど背中の中心辺りから腰の辺りに当ててあげてください。
(上の画像の位置)
胃腸の具合が悪いと言っても和紙をお腹に当てるのではなく、
このように必ず背中に和紙を当ててください。

Aウサギの上に乗せた和紙が乾く程度(生乾き)ドライヤーで温めます。

和紙と、ドライヤーの間は、10センチ程度離してください。

ドライヤーの温度(性能)によってもやや距離は違ってくると思います。
あまり近すぎないように熱すぎないようにご注意してください。
ウサギの体とドライヤーの距離で温度の調節ができます。

熱すぎないように、十分に気をつけて温めてください!

温めている時間は5〜10分程度、
当てている和紙が乾く程度の時間温めてください。
和紙が完全に乾いてしまうと温度が高くなってしまうので少々生乾きの状態、
完全に乾く前でおしまいにされた方が良いでしょう。
またウサギが飽きてきたりして嫌がるようになったなら止めてください。

首筋肩口を温める場合は、
ドライヤーの熱風が直接耳にかからないようにご注意ください!

耳を見たり触りながら、
耳の色がほんのり赤みがさしてくる程度、
耳がほんのり温かくなってくる程度の時間温めてあげましょう!
長時間温めすぎたりドライヤーとの距離が近すぎたり温度が高すぎたりすると、
ヤケドなどの危険もあるので、十分ご注意ください!!

ウサギは全身に毛が生えているので熱すぎることはないと思いますが、
様子を見ながら調節してみてください。
和紙を当てている場所以外に、温風が当たると、
その部分が熱くなりますので、和紙の上だけに温風を当てるようにしてください。
他の部分をタオルで囲むなどすると、より安心です。

また冬の時期ならば問題無いと思いますが、
真夏などの暑い時期にはあまり長時間温熱療法を続けるのは控えるようにしてください。
大丈夫だとは思いますが万が一、熱中症にならないとも限らないかと思いますので。


赤い和紙の秘密

何故赤い和紙を利用するかと言うと、
「赤い色」が遠赤外線を多く発生するからだそうです。
そう言えば冷え性に赤いパンツが良い・・・などという説もありますね(笑)
遠赤外線は体の奥の方まで届くので、
つまり体の中から体の芯まで温められると言うことです。
普通に温めるよりも赤い和紙を使った方が効果的だと言うことになるかと思います。
また赤い色は「元気になる色」とも言われたりします。

赤い和紙ではなく赤いタオル等でも代用できます。
しかしタオルだと厚みがあり乾かすのに時間もかかりますし、
濡らすと重たくなったりするところが欠点となります。
やはり紙、それも特に和紙が良いのだそうです。

和紙を水で濡らす理由

何故水で濡らし乾かすまでドライヤーを当てる意味は、
そうすることによって熱が体内の奥深くまで届くからだそうです。
それと赤い色との組み合わせることでより体の芯まで温まるのです。
その点で和紙は水に濡らしても破けにくく、何度も繰り返して使うことができます。


和紙を使わない方法

赤い和紙がご用意できない場合や、
ドライヤーの音をウサギが怖がってしまう、
等の場合は和紙以外の物で代用する方法もあります。

レンジでチン!

市販のものでレンジで温めて使う温シップがあります。

 ゆたぽん その他ハーブが入っている温シップ等もあります

このようなものを利用します。
レンジで温めますが規定の時間よりもやや短く温めすぎない程度に温めます。
温度としてはだいたい40〜50度程度でしょうか。

それをタオルにくるんで同じように背中などを温めてあげます。
こちらの方法も時間的には5〜10分程度。
同じように耳を見たり触りながら、
耳がほんのり赤みがさしてくる程度、
耳がほんのり温かくなってくる程度の時間温めてあげましょう!

ただこの温シップ(ゆたぽん)はちょっと重量がありウサギには重たいのでは!?
と言うところが欠点と言えば欠点かも知れません。

またホカロンのような携帯カイロを使用する方法もあるかな?と考えましたが、
温度的に調整が効かない。
(温度が高すぎる、長時間高い温度が続いてしまう等)
誤って食べてしまったりすると危険!
等の点からあまりお勧めできないかと思います。

蒸しタオル

その他、蒸しタオルを利用する方法もあります。

 蒸しタオルをビニール袋に入れる方法

このように、蒸しタオルをビニール袋に入れて、
同じように温めてあげる方法もあります。
直接蒸しタオルだと体が濡れる(湿る)のでビニールに入れた方が良いでしょう。
欠点としてはタオルの温度が下がりやすいので、
長い時間温かさがもたないと言うところでしょうか。
でもこの方法が一番簡単だと言うところが良いところだとも思います。

またウサギの首筋を温めてあげる場合は、
ドライヤーの熱気が耳にかかったりすることもありませんし、
ゆたぽんのように重くも無いですし蒸しタオル法が一番安全な方法かも知れません。

この方法も上記の方法と同じく、
タオルの温度は40〜50度程度にしてください。
背中などを5〜10分程度温めてあげます。
タオルの温度が下がってしまったら取り替えながら行いましょう。
こちらも同じく耳を見たり触りながら、
耳がほんのり赤みがさしてくる程度、
耳がほんのり温かくなってくる程度の時間温めてあげましょう!


回数

温熱療法をする回数は毎日1〜2回程度でかまいません。
朝晩の2回でも1日1回でもかまいません。
毎日、と書きましたが必ず毎日行わないといけないものではありません。
ウサギの体調に合わせて行ってあげれば良いかと思います。

温熱療法を行う時間も上記でも書きましたが、
1回5〜10分程度でかまいません。
「必ず毎日2回、1回5分で!」のように厳密に繰り返す必要もありませんので、
難しくお考えになられずに行ってみてください。
また体を温めてあげながら体や頭を撫ぜてあげると、
よりウサギは気持ちよくなってくれると思います。


赤い和紙と、その他の方法との比較

体の奥深くまで熱が届くと言う理由から、
やはり赤い和紙による方法が一番効果的なのではないかと思います。

しかし麻痺などのウサギは、
赤い和紙を使わない方法でもとにかく体を温めてあげるととても気持ちが良いようです。
気持ちが良いことが分かってくるとおとなしくさせてくれる場合が多いですし、
温熱療法をしている最中にイビキをかいて寝てしまうウサギもいます(笑)


手術後の温め方の注意点

何らかの手術後、
正確に言うと麻酔の覚醒後には体温が下がっている場合があって、
このような場合にも身体を温めてあげるのは良いことです。
回復を早めてくれます。

しかし温めた方が良いからと、
高い温度であったり長時間温め過ぎると熱中症の危険があります。
特に手術後のあまり動けない状態だと、
熱くても自力で逃げることができないので温め過ぎには十分な注意が必要です。
手術後の保温は獣医さんにお任せするか、
ご家庭で行う場合にも必ず獣医さんの指導の下に行うようにしてください。

実際に手術は成功したのに、
術後に温めすぎによる熱中症で亡くなったウサギの例があり、
悲劇に他なりません・・・。
特に術後の温熱療法温めすぎには十分にご注意ください。


まとめとして

下半身が麻痺しているようなウサギは、
脊髄の神経系の病気によって起こる場合があります。
そうなると、胃腸への神経も阻害されるからなのでしょうか?
食欲が落ちてしまったり食欲はあっても痩せてしまうこともあります。
そのような状態に時にも、このような温熱療法をすると、
下半身や内蔵の(特に腸への)血行が良くなるからだと思いますが、
胃腸の動きも良くなり食欲が増してくれることもあります。
(動きが良くなると、吸収も良くなるかと思います)
もちろんそのような目に見える効果が出てくれると嬉しいですが、
それだけでなく温熱療法をしてあげると、
少なくともウサギは気持ち良さそうにしてくれます。
それだけでも良いことだと思います。

麻痺や斜頚のウサギさんの体調や気持ちが少しでも良くなってくれることを願いながら。




大好きだったうーさんへ、感謝をこめて



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