第一章◎健康は食にあり!?

「健康は食にあり」と言いますが、それはウサギとて同じではないでしょうか!? では、ウサギにとっての健康的な食生活とはどのようなものなのでしょうか?

このページではウサギに野菜を主食にすることをお勧めしています。野菜主食と言っても、野菜のクズを中心に与えたり、ニンジンやキャベツだけを与えるような古典的な方法とは違い、栄養価や栄養のバランス、さらには病気などの予防などに適した与え方等を考察した上での「野菜主食の勧め」としています。

野菜主食にすることは面倒なところはありますが、言われているほど難しいこともありませんし、体調が悪かったり、与え方を間違ったりしなければ、下痢などの体調を崩すようなこともまずありません。しかし食生活に関することなので、与える量が少なかったり、偏ったり、間違った与え方をすると成長や健康に影響します。野菜主食にすることで失敗するのはその内容、栄養のバランスよりも量が少ないことが原因となっていることがほとんどです。野菜を主食に与える場合は与える量には特に注意をしてください。この特集を読んでいただいて、ウサギに野菜を与えたいとお考えになられば場合には、さらっと読み飛ばすのではなく、さらにもう一度、きっちりと熟読してくださった上で、自己責任において行うようにお願いいたします。

#1-01 ラビットフードの功と罪

ラビットフード(ペレット)の登場は、ウサギの飼育や地位を飛躍的に向上させたと思います。それまでは、ご家族の食事の残りの野菜クズや、サツマイモ食パンの耳etc…がウサギ達の主食となっていました。我が家でも昔は(戦時中はあげていたと言う祖母の言葉で)オカラもあげていました。今なら信じられないような食事内容でしたし、当時は(30年以上も前のお話です)「ウサギに、水を飲ませたら死ぬ!」などと真面目に信じられていた時代でした。ペットウサギの受難の時代だったかも知れません。

いつ頃からなのでしょうか?私達ウサ飼いの前に「ペレット」が登場したのは…。例に漏れず我が家でもペレットをウサギの主食として使い始めることになりました。

ペレット

かわいい絵柄がついたお皿に、コロコロ!とペレットを入れてあげればウサギは喜んで食べてくれます。栄養もウサギに最適に作られているし(それについても疑問に思っていますが)ペレットと水だけあげていれば、それでOK!ペレットは簡単で保存も利くし、手や部屋も汚れないし安価だし、何と言っても毎日決まった量を与えていれば、きちんとした栄養をそれだけで全部摂れてしまう!のです。ものによってはオシッコの臭いを消す成分さえも入っています。これは便利ですー!!それまではウサギの「餌」だったものが、ラビットフードの登場で、ウサギの「ご飯」となり「おしゃれ♪」になりました。

しかし、不正咬合になったうちのウサギが、ペレットのせいで、不正咬合になったのではないか!?と知ったときは愕然としました…。

歯が悪かったので
みじん切りの野菜を
与えていました

その時は知らなかったとは言え、自分のせいで、歯を悪くさせてしまった可能性が高いのです…。それだけでなく、ペレットがどのようにウサギの健康に良くないのか次第に分かってきました。その猛省や悔しさをこめて、それからウサギの歯やその他の健康的な生活についてと、食生活の関係について勉強することにしました。

#1-02 ペレットをお勧めできない理由

我が家でお世話になっている動物病院での統計を教えていただいたところ、現状は初診で来院する9割以上のウサギ飼いのご家庭で、ペレットを主食にしているのだそうです。その内訳として、ほとんど100%ペレットだけを与えているのが、またそのうちの9割。かつ牧草もあげているが食べないので、ケージの飾り(?)になっていたり、床材となっているご家庭が大勢を占めているそうです。

最近は「ペレットが歯に良くない」と言う説はある程度ウサギ飼いに浸透してくるようになりました。ペレットのその形状や硬さが「ウサギの歯の構造や咀嚼に合わない」ことが歯を悪くしてしまう原因のひとつだと考えられています。それについては、
長寿うさぎの会の中のページ、
「うさぎの歯の構造と、食べ物について」
をご覧ください。ウサギの歯は横方向への咀嚼して食べている分には良いのですが、縦方向への咀嚼には意外に弱いものなのです。なのでペレットのような形状や硬さでは、縦に噛むことの連続になり、歯が曲がってしまったり、トゲ状になってしまったりと、歯の病気の原因になる可能性が出てきます。

また、少量で一日に必要な栄養量を摂れてしまうので(足りてしまうので)咀嚼全体の回数も減ってしまうことになります。そうなると一生伸び続けるウサギの歯は、良い具合に磨耗することができず、伸び過ぎの状態を引き起こす可能性も出てきてしまいます。伸び過ぎた歯はより縦方向の咀嚼にも、かつ横方向の咀嚼にも弱くなって行き、より不正咬合等の歯の異常を起こしやすくなると言う考えです。

ウサギの歯と食生活のことで、「硬い餌が良い」とか、反対に「硬い餌は良くない」と言う議論がありますが、その議論はある意味では無意味だと思っています。確かに硬いペレットは歯に縦横方向の負担を余計にかけてしまうので、(硬いペレットを砕く方が、歯により負担がかかる)歯の病気の元になる可能性はソフトタイプのペレットよりもハードタイプのペレットの方が高くなるとは考えられます。

しかし食事内容が硬いとか柔らかいと言う問題では無く、要はたくさん食べて、たくさん歯を使うことが重要なのです。ペレットを主食にすると少量で必要な栄養量が足りてしまうので、全体の食事量が減ることになります。それにつれて歯を使う量も減ることになります。

歯の病気で恐ろしいのは、その原因が食事内容にある可能性がある場合は、長年かけて徐々に悪化していくところにあると思います。3〜5才頃になると、それまでの食生活が原因で歯の病気を発症してしまうことがあります。そのように長いスパンで考えなければならないので、実感として分かりにくいところがあるかと思います。しかし、歯の病気になってしまうと、なかなか治りにくいことが多く、歯の健康については良い食生活からとにかく日頃からの予防がとても大切だと思っています。

胃腸の成長

歯に良くないだけでなく、胃腸も丈夫に育たない可能性もあります。

ペレットは「繊維質が少ない」ことが問題視されることもありますが、それでけではありません。上記、歯への問題点としても書き出しましたが、ペレットは少量で一日に必要な栄養素を摂取できてしまいます。これは、野菜や牧草と同じ量の、例えば、熱量(エネルギー・kcl)を摂った場合、どれだけの食事量の違いが出るのか?計算してみると分かります。(ウサギの栄養素の計算は単純に熱量だけが重要なのではありませんが)例えば、あるメーカーのペレットでは、30グラムで100キロカロリーとなります。それと同じ熱量を比べてみると、野菜の中でも熱量の高いニンジンでは、約300グラムで100キロカロリーとなり、それは中ぐらいのニンジン1本半程度の量となります。サニーレタスで計算すると約600グラムにもなり、2株以上もの量となります。

と言うことは繊維質だけで考えてみても、いくら繊維質の高い(多く含まれている)ペレットだとしても計算してみれば、総合の繊維質の量は少なくなってしまいます。

元々野生下では栄養価の低い食物を食べているウサギは等の草食動物は、その分大量の草を食する必要が出てきます。大量の食事を消化し栄養とするために、ウサギは長い腸を(特に大きい盲腸)を持っています。しかしペレットのような栄養価の高いものを毎日食し続けることで、大量に食事を摂らなくても栄養が事足りてしまうことになる訳です。それ故に腸は退化しているのか?小さかったり短くなったりとしてしまうことがあるようです。レントゲンで盲腸の部分を見ると、ペレットを主食にしているウサギと、野菜や牧草を主食にしているウサギとでは、明らかに盲腸の大きさ(発達度)に違いが見られるのだそうです。もちろんペレットを主食にしていると盲腸は大きく発達していません。

そうなると例えばちょっとした毛球症やらの胃腸のうっ滞を起こした時も、元々腸が丈夫ではありませんので、すぐに重症化してしまい、回復にとても時間がかかったりすることもあります。

盲腸糞を残す(軟便をする)

定期的に盲腸糞を残したり(ブドウのように繋がったプルプルした便)軟便をすることがありますが、これもペレットが原因の場合も考えられます。タンパク質が過剰なペレットを主食にしていると、そのようなことが起こることがあります。野菜の水分で軟便をする、と言われますが、(実際には野菜を与えて軟便をすることはほとんどありません)それは野菜の水分がいけないのではなく、野菜を食べたぐらいで軟便をするウサギの体の方に問題があるのだと思っています。反対に、野菜や牧草を主食にしたとたんに、軟便をしたり盲腸糞を残してしまうことが、ぱったり止まることも良くあります。

ウサギとタンパク質

盲腸糞を残す原因として、ペレットの過剰なタンパク質のことを上げましたが、そもそも草食動物であるウサギは、大量のタンパク質を食事から摂取することができません。もちろん野草や牧草野菜にもタンパク質は含まれていますが、ペレットに比べればかなり少なくなります。では何故ウサギのような草食動物はその少量のタンパク質で、体を維持できるのか?の疑問がわいてくると思います。そのためにウサギは腸内にウサギ独特な「酵母菌」等の有用細菌を共生させています。

ゾウの大きな身体も
お腹の中の酵母菌の活躍に
支えられています

ウサギの体内にいる酵母菌の量は、全てを集めて丸めるとしたら直径1〜2センチ程の大きさになる。とまで言われているほどたくさん住み着いています。酵母菌はウサギの腸内に入ってきた食物を分解してタンパク質を排出します。ウサギの盲腸糞には、その排出されたタンパク質が25〜28%ほど含まれていて、それを食糞することでウサギはタンパク質を補給できる仕組みになっています。つまりウサギは、その必要とされているタンパク質の全量を食物として摂取する必要はなく、体内で作り上げる仕組みを持っているのです。

ウサギの酵母菌はそのように非常に大切なものですが、酵母菌の状態は遺伝的と言うか、母親ウサギの胃腸内の酵母菌の状態がその子供に受け継がれるようです。しかしペレットを主食にしていると盲腸などの発育が遅れ、そこに住み着いている酵母菌が少なくなっていたり、また酵母菌が必要で無い程に口からタンパク質を摂取できるので、酵母菌が不必要になってきている、のかも知れません。問題無いようにペレットを食べていると、一見正常のような感じにも思えますが、それはウサギ本来の消化吸収の機能とは違うものだと思います。

原料と添加物

ペレットの原料や添加物についても問題があると思っています。

ペレットの原料を調べると、チモシーやアルファルファなどが主原料となっているものもありますが、その他の原料として、大豆(カス、きな粉、脱脂大豆等)トウモロコシ(ホミニーフィード)小麦粉、米、(繊維質を増すために)落花生(の殻)等と、草食動物であるウサギに与えるには不自然な内容だとも思います。(中には、ウサギに食べさせてはいけないとされているものもあります)

添加物についても酸化防止剤、カビ防止剤など、色々な添加物が使用されている可能性も否定できません。(きちんと添加物などが表示されているものもあります)

(以前書き出していた酸化防止剤であるエトキシキンについては、枯葉剤の原料であるとの定説でしたが、単に枯葉剤の酸化防止用に使用されているだけ、と言うことで、ダイオキシンとは違い、枯葉防止剤の毒性とは直接関係ありませんでした)

コンパニオンバード用のペレットは
歴史が浅いですが、人工保存料
無添加やオーガニックなど
ウサギ用よりこだわりが見られます

「無添加」と表記されていても、あくまでもペレットの製造工程において添加物は入れていない、と言うだけのことなので、原材料に添加物が含まれていても表示する義務はありません。その他の食品添加物等、どのようなものが使われているのか、はっきりと表記する必要が無いのが現状です。

#1-03 牧草の登場

そこで登場したのが牧草(干草)です。牧草は、歯に良い!お腹にも良い!と言われて、ウサギの主食としてお勧めされるようになりました。確かに歯にもお腹にも良い食生活で、それらの病気の予防にも適した食生活だと思います。牧草がウサギの食生活として登場したことは、ウサギの健康的な生活にとって、とてもプラスとなったことは間違い無いと思います。また、ペレットと同様にある程度は保存も利きますし、野菜のように、洗ったり切ったりもせずに簡単に扱えますし、人間にとっても(飼い主にとっても)便利なものだと思います。

牧草の有益性については、友人である「びーさん」のサイト、
「Rapeti Hei」
に、これ以上の説明は無いと言えるほどに、詳しく書かれていますので、是非そちらをご覧ください。ウサギ飼い必見のサイトだと思います。

放牧性の動物

馬は放牧性の草食動物です。
ウサギ達にも、こんな牧草地を
走らせてあげたいですね!

国内の例で言えばアマミノクロウサギは、観察の結果、約24種類以上の野草を食べているのだそうです。野草は季節によりその生育している種類も異なりますし、または住環境の場所により、食べられる野草の種類は違ってくるはずです。アマミノクロウサギもその季節や暮らしている場所により、それぞれ違った種類の野草を食べていることは想像がつきます。このように野山を駆け巡り、色々な草を食べている動物を、「放牧性」の動物と言われることがあります。ウサギも場所や環境に適して生えている野草類を食しています。

では、牧草はどうでしょうか?冬ならばともかく、乾燥した草を一年中主食として食べさせることが自然な食生活でしょうか?同じ種類の草を一年中食べていることが自然の食生活なのでしょうか?疑問に感じました。

乾燥した餌である、と言うことー東洋医学的な説明

ペレットや牧草は「乾燥した食事」です。中医学(東洋医学)を取り入れたペット関連の本を読んでいますと、「乾燥した餌について」の記述があります。乾燥した餌を食べ水を飲むのと、生の、元々水分を含んだ餌を食べるのと、同量の水分を摂ったとしても全く意味が違うのだそうです。

乾燥した食事は身体を水分で潤すことができないだけでなく、胃腸内の水分を奪い取って行きます。水分が足りなくなった身体には、余分な熱が生まれてしまうと言われています。そのような食事を続けていると、腎臓や肝臓に熱がこもりやすくなり、それを冷やそうとするために多飲多尿のような症状になったり、悪化した場合は腎不全のような状態になったりします。

元々草を主食にしているウサギ達ですが、水分が多いものを食べているので、体が冷えるような食生活をしています。その体の冷えを調節するために、ウサギは胃腸内や体の熱が高めになっていると言う説もあります。つまり、反対に乾燥した餌ばかり食べていると、体内の熱がより高かめになってしまうと言えるかと思います。東洋医学では、そのたまった熱は体の上方へ登って行くと言われ、つまり体の上、頭部や口の熱が高くなると言う説明で、そうなると頭部の神経系の病気や、口の中、歯の病気になりやすくなると言う考え方ができます。また、皮膚や骨(が弱くなる)とも関係があり、これらの病気はどれも、現在のウサギ達に多い病気の種類であることに気が付きます。

また「水分」と言う言葉で区切っていますが、水道水とミネラルウォーターの違いのように、野菜に含まれている水分は、一度植物が吸い上げた水であり、そこに何らかの、ろ過効果や色々な成分が含まれていたり、東洋医学で言うところの「生きた水」や「気の含まれた水」とも言われます。

東洋医学でなくとも腎臓は水分が不足するとより負担がかかりやすくなることについては説明ができると思います。腎臓は血液中の老廃物を浄化して排泄する役目の他にも、体の中の水分を調節する役目をはたしています。水分を多く摂れている場合は血液も薄くなり腎臓は余裕をもって働くことができますが、水分を摂らない(摂れない)場合は血液も濃くなります。そうなると体内に必要な水分を、本来はろ過して排泄しなければならないところを、体内に水分として残さなければならなくなるので、腎臓はより少ない水分(濃くなった血液中)からろ過しなくてはならなくなり、より腎臓に負担がかかってしまうことが水分補給が少ないことによる腎臓への負担の理由です。

このようにペレットのみ、またはペレットと牧草のみの乾燥したものばかりの食生活で、飲み水としての水の摂取だけでは、どうしても野菜から摂取する水分量には追い付きません。それは、食事の違いによる尿量を比較すればはっきりと分かります。

牧草を食べているから!

『うちの仔は、牧草を食べているから歯も胃腸も健康です!』と、思われている方がとてもも多いように思います。しかし、ただ牧草を食べているだけで、それで健康的な食生活だと言えるのでしょうか?牧草は確かに歯やお腹にも良い食事内容だと思います。ペレットを主食としていて牧草も食べているからそれで健康的!だと言えるのでしょうか?ペレットも全く食べさせてはいけない、とは言いませんし、牧草もウサギの健康的な食生活の一部としてとても有益だと思います。しかし、あくまでもそれは「一部」であり、健康的な食生活をウサギ達に送らせてあげるためには、もっと総合的に考える必要があると思っています。

ラビットフード(ペレット)は、総合栄養食とされていますが、そもそもはウサギが食べているものの単なる「代用食」に過ぎないのではないでしょうか!?完全食のように思われたり、あまり過剰に期待するのは良くないと思っています。

#1-04 野菜主食の勧め

野菜大好き!

「草食動物」であるウサギにとって、一番自然な食生活とは「草」だと言うのはどなたも異論は無いと思います。がしかし、一般のご家庭で野草をウサギが必要とされている量を毎日毎日与え続けることは、広大な牧場でも持っていなければ実際問題として不可能だと思います。その野草の代わりに与えることをお勧めするのが「野菜」です。代わりと言っても野菜も野草もそもそも植物であり、野菜は人間が食べられる草(または、おいしいと感じられたもの)だと思います。

野菜を主食にすることによって、ウサギにとってどのようなメリットがあるのでしょうか?最初に書きました「健康は食から」に当てはまるのでしょうか?

ビタミンミネラルの宝庫

ご存知のように野菜はビタミンやミネラルの宝庫です。ビタミンとミネラル成分は密接な関係をもっていて、色々な種類がありますが共同で体の維持をする役目を持っています。ビタミンやミネラルが不足すると体に色々な支障がでてきます。ビタミンやミネラルが豊富な野菜は、ペレットやサプリメントとは違い生の状態のビタミンを摂れて、とても自然で有効だと思います。

ウサギとは食性が違いますがハムスターでは、野菜を与えると繁殖力が高まると言うことが確認されているようです。これも、おそらくそれらビタミンミネラル類の良い影響ではないかと言われています。

歯に良い!

ペレットの功罪でも少々触れましたが、野菜を主食にすると歯に良い食生活になります。『野菜は柔らかいので歯は磨耗しない』と言われることがありますが、その考えは間違っています。上記の重複になりますが、柔らかい食事硬い食事が問題なのではなく、たくさん食べ!たくさん噛み!たくさん歯を使う!ことが重要です。正しく噛み、咀嚼することで、ウサギの歯は、食べると言う行為だけで歯は磨耗していきます。食べると言う行為だけで、不正咬合等の歯の病気を防ぐことができるようになります。それは、野菜だけでなく牧草でも同様で、栄養価が低いと言うことは、それだけたくさんの量を食べる必要があることが、歯の健康には食事内容はとても重要です。

お腹に良い!

牧草もですが、野菜もたくさん食べることで胃腸が鍛えられます。繊維質も重要ですが、繊維質だけでなく、たくさん食べて胃腸をたくさん使うことが重要だと思います。そうすることにより胃腸が鍛えられ丈夫な胃腸を育ててくれます。

毛球症の予防にも

また毛球症の予防にも野菜主食は役立ちます。毛球症の予防に「たっぷりの繊維質と、たっぷりの水分を摂れば良い!」と言われ、牧草と水をたくさん飲ませることを勧められますが、何故、そこで野菜を勧めないのか?疑問に思うことがあります。野菜ならば両方がいっぺんに解決するからです。また、野菜を主食にしていると日頃から胃腸が鍛えられているので、少しぐらいの毛球症ならば半日程度で回復することがほとんどです。

その他の色々な病気の予防にも野菜は適しています。

免疫力増強

お友達のちろるちゃん
ん〜、撫ぜてみたい!
ペレットを止めて、
野菜主食になりました
生牧草を食べてます

野菜には免疫力を増強してくれたり病気への抵抗力を高めてくれるような成分も含まれています。例えば、カロチンと言えば、ニンジンが思いつきますが、カロチンには唾液や涙等にも含まれている、殺菌成分を増強してくれる作用があります。その他、野菜に含まれているイオウ化合物も、免疫力アップさせてくれると言われています。免疫力増加を目指すためには、色々な種類の野菜をまんべんなく与えることで、それぞれの野菜の持っている効果を高めてくれます。

尿路結石の予防にも

カルシウムやシュウ酸が多く含まれている食事を多く摂ると、カルシウム尿を排泄することがあります。

ウサギのカルシウムの代謝は独特なものがあり、人間のように骨に蓄えると言うことができません。食物として取り入れたカルシウムの余った分を尿中に排泄します。それが腎臓内で結晶化して腎臓(尿路)結石となりやすくなります。しかし一生歯を伸ばし続けるウサギには、それなりのカルシウムが必要なはずです。それに骨に蓄えることができないと言うことは、反対に言えば、毎日ある程度の量のカルシウムを摂り入れなければカルシウムは不足してしまうことになります。

量や回数などの程度にもよりますが、このようなカルシウム尿を排泄するのは普通なことであり、週に数回出るぐらいがカルシウムが足りていると言う目安でもあります。反対に毎日毎日透明な尿ばかり排泄するのは、カルシウムの不足やどこかの体調の異変の可能性も考えられます。

カルシウムと骨や歯、尿路結石の関係ですが、野菜等に含まれているシュウ酸とも関係が深く、単にカルシウムを控えれば「尿路結石にならない」と言う単純な問題ではないのだと思っています。

また、野菜はその90%近くが水分です。水分が多いと言うことは尿も多くなり、シュウ酸やカルシウムが結晶化して結石になってしまう以前に排泄されやすくなります。また、乾燥している餌と違い水分が多いことで血液が薄まるので、腎臓も、濃い血液をろ過するよりも楽に働くことができて、腎臓への負担も軽くなります。

そのような理由から野菜を主食にしている限り極端にカルシウムを制限する必要は無い、と思っています。

血液サラサラ効果

ウサギはその体や循環器系の構造から、血栓ができやすいと言われることがあります。ウサギの心臓は、体の大きさの割りに小さく、その小さい心臓で体全体に血液を循環させるためにも、脈拍数や血圧を高めて血液を送り出すような構造になっています。なので、血流の勢いが高いことも原因となり、小さな血栓が体のどこかの血管にできた場合、それが、動きやすく、流れやすくなると言うことです。血栓が脳へ達すると脳血栓となり、神経症状が現れる可能性もありますし、足の付け根の血管に送られると足の麻痺となって現れる可能性もあります。

その血栓を予防するにも野菜主食が最適だと思っています。コレステロールを除去する、つまり血栓をできにくくする、ことが予防にもつながります。ビタミンCやビタミンE、βカロテン、ポリフェノールには強い抗酸化力があり、ポリフェノールは血管中のコレステロールの酸化を防いで、血管にコレステロールが沈着するのを抑え血管の老化も防ぎます。実際に、栄養価の高いタイプのペレットを長期間与えていると、動脈硬化症になってしまうと言う報告もあります。また、血栓の予防だけでなく、血液サラサラ効果は、心臓病等の循環器系の病気の予防にも役に立ってくれると思います。

水分が多い

野菜はその約90%が水分です。野菜を主食にすると自然とたくさんの水分を摂ることになります。

ウサギは、肝臓は意外と丈夫ですが腎臓は体の割合にしても小さく、それほど頑丈なものでは無いような気がしています。それはウサギ元来の食生活を考えると納得のいくところもあります。

野生下では野菜と同じく水分が多く含まれた野草を主食としています。なので腎臓はそれほど過度に働く必要が無いのかも知れません。しかし、反対に肝臓は野草など植物類に含まれる、アク成分等、言わば毒素のようなものが多く含まれているものがあり、その毒素のようなものを分解するために丈夫な肝臓が必要になった。とも考えられるのではないでしょうか?

上記の血液サラサラ効果と重複しますが、肝臓、腎臓の関係も考えるとすると、元来、根本的に、ウサギは大量の水分を摂取することが自然なのではないか?とも考えられます。また、水分を多く摂取することが、脳梗塞や心筋梗塞の予防になると言われていますが、その水分を自然に食事することで摂れるのが野菜主食です。

自然の整腸剤

お友達の
くるみちゃんとここあちゃん
母子で野菜大好き!

生の新鮮な野菜には、土壌に含まれている乳酸菌や酵母菌等の有用細菌が住み着いています。ペレットは加熱して作りますし、牧草は輸入の牧草なら燻蒸処理や高温殺菌をしています。そうすることにより害虫などを駆除しています。と同時に細菌類も、その高熱や燻蒸処理に使う薬剤で死滅します。と言うことは有用細菌である乳酸菌も酵母菌も同時に死滅しています。野菜は生のまま与えることができるので、そのような乳酸菌や酵母菌などの有用細菌はちゃんと生きています。

ウサギの腸に住んでいる酵母菌は独特の生態を持っていて、一般的な酵母菌とはちょっと違います。ウサギは、その酵母菌の力を借りて消化をし栄養を補給しています。ウサギの胃の中は酸性度が高く、ほとんどの乳酸菌は胃の中で死滅すると言われています。乳酸菌を与えても、即効果的!とは言えないところもありますが、長く留まることはできなくても、たとえ少量でも胃腸へ届いた乳酸菌は酵母菌の手助けをするのではないか?とも言われています。

抗ガン作用も期待できる

野菜にはガンを予防するとされている成分が色々含まれています。小松菜、キャベツ・カブ等のアブラナ科の植物には「インドール化合物」と言う物質が含まれています。インドール化合物とは、植物のホルモンで、植物を成長させ、活動を助けるための成分です。この成分には発ガン物質の毒性を失わせると言う強い作用があります。

また「イソチオシネアート」と言う、イオウ化合物の一種も、発ガン物質が体内で活性化するのを防ぎ、活性酸素の影響で傷がついた細胞が、ガン化されるのを防ぐ作用があると言われています。

ハクサイに含まれてる「ジチオールチオニン」と言う物質にも、発ガン物質を破壊すると言う作用があります。このように、自然と抗癌作用がある食生活になっているのが野菜主食です。

体調によって調整ができる

それぞれの野菜はそれぞれの栄養素を含んでいます。ビタミン類の含有量もそれぞれの野菜によって違っていますし、特別な栄養素などを含んでいる野菜もあります。

また、季節の旬の野菜には、季節に合っている効果のようなものがあります。例えば、キュウリは体を冷やすと言われますが、キュウリはちゃんと夏が旬の野菜です。夏が旬の野菜は体を冷やす作用があり、冬の野菜には体を温める効果がある野菜が多く、ちゃんと季節に合ったものが旬となっています。つまり春夏秋冬のそれぞれの季節の旬の野菜を与えているだけで、ちゃんとそ季節に合った食事内容を摂れてしまう、なんとも都合の良いようなお話に聞こえてしまうような効果があります。

例えば、妊娠授乳期や仔ウサギに栄養をたくさん摂らせたいとしたら、栄養価の高い野菜を中心に与えて行けば良いわけですし、反対に肥満でダイエットをしたいのならば、栄養価の低めの野菜を中心に与えて行けばうまくいきます。

抗ガン作用があると言われている成分を含んでいる野菜。抗菌作用が高い成分を含んでいる野菜などについての説明は、「うさぎにとって健康的な食生活は??ケース別お勧めメニュー」で詳しくお伝えしますが、それぞれのウサギの体調や病気の状態によって、野菜等の種類を変えることにより、体調を調節してあげることもできます。

元気になる!

今までペレットを主食にしてきていて、野菜主食に変えて、動きが良くなったり、元気が良くなったりすることがあります。長寿うさぎの会の掲示板でも、そのようなご報告を度々目にします。野菜主食にしてダイエット効果から、身体が軽くなったと言うこともあると思いますが、その他、ビタミン類や水分等の効果で、体調が良くなるのかも知れません。

野菜は楽しい!

ハート型のチンゲン菜!

野菜を主食にして与え出すと大変なことも多いのですが、ウサギについて勉強したり、野菜について勉強したりすると、これがまたおもしろく楽しいのです!野菜を買う時も「これはおいしそうだ!」「前回の小松菜は評判が悪かったけど、今回の小松菜は良く食べるなぁ〜!」とか、野菜の品質の良し悪しもだんだん分かってきます。まるでウサギの視線、味覚となって野菜を見てしまうようになります(笑)

またキッチンで野菜を洗っていると、催促するように足元でグルグル回るウサギを見ていると、これまた楽しかったりします(笑)

#1-05 野菜主食の問題点

野菜を主食とすると色々な良い点がありますが、同時にいくつかの問題点もあります。

農薬

野菜を与えることでの欠点として1番にあげられるのは、「農薬の問題」だと思います。

ベランダ菜園のパセリ
もちろん無農薬です

次ページでも検証しますが、野菜についている残留農薬を落とすには、ウサギの食性から言って野菜を「洗う」しか方法が無いと思います。もちろん、無農薬野菜を常時与えられるのならば、これに越したことは無いですが、なかなかそうもいかないのが現実だと思います。次ページでは農薬の落とし方としてご紹介します。

栄養のバランスを取るのが難しい?

野菜はペレットのように毎日平均的に栄養のバランスを考えて与えることがとても難しく面倒だと言われます。野菜の栄養成分表を片手に、栄養価を計算しなければならないと思われています。次ページ「実践編」でお伝えしますが、実はそれほど深く考えなくても、栄養のバランスはちゃんと取れるものなのです。

有害成分を含んでいるものがある

シュウ酸、硝酸塩や甲状腺に異常を起こすような物質等、問題となる成分を含んでいるものがあります。

シュウ酸はカルシウムと結合するので、カルシウムの吸収を阻害します。シュウ酸を多く摂りすぎると「骨粗鬆症」や歯の異常など、カルシウムを必要とする部位に影響が出ると言われています。

またシュウ酸はカルシウムと結合して「シュウ酸カルシウム」となり、腎臓結石の原因になりかねない可能性を持っています。しかし、シュウ酸と同時にカルシウムをちゃんと必要量摂っていれば、シュウ酸は胃腸内でカルシウムと結合して、便として排泄されてしまいます。反対にカルシウムを控えてしまうと、カルシウムと結合しないシュウ酸が血液中に吸収されて行き、腎臓へと達して、腎臓にあるカルシウムと結合し結晶化して、その結果腎臓の結石となりやすくなります。

口から摂取したシュウ酸が全て胃腸内で完全にカルシウムと結合して、便として排泄されるかどうかは疑問ですが、そこで登場するのが野菜の90%も含まれる水分の出番です。野菜を主食としていると、野菜の水分で胃腸内でカルシウムやシュウ酸は薄まります。(その他の成分、硝酸塩なども薄まります)腎臓で、シュウ酸とカルシウムが結合されても、シュウ酸カルシウムの結晶がが大きくなってしまい、結石となる前に多くなる尿と共に排泄されるので、野菜を主食にしていると、より結石になりにくくなると言えると思います。

ウサギの結石はカルシウムの過剰摂取で起こりやすくなる、とされていますが、反対にカルシウムを控えてしまうと、シュウ酸がたまりやすくなり、より結石になりやすくなる、とも言えると思います。このような意味でも安易にウサギにカルシウムを極端に制限するのは、良いことだとは思えないと思っています。

硝酸塩については、畑にまかれた窒素肥料が硝酸塩に変わり、野菜はその硝酸塩を吸収します。その野菜が作られている環境や土壌などの状態、与える水の与え方によっても硝酸塩の含有量は違ってきます。また、同じ野菜でも季節によって、その含有量が違ってきて、その野菜の旬の時期以外にハウス等で栽培されると、硝酸塩の含有量は増えてしまいます。

硝酸塩は、発ガン性があると言われていますが、急性の中毒症状や流産をするなどの症状もあると言われています。硝酸塩については
農林水産省の「野菜中の硝酸塩に関する情報」のページ
で説明されています。

以前、亜硝酸塩の中毒でウサギが亡くなった、と言う情報が流れたことがあります。その真偽ははっきりとしていないのですが、反芻を行うウシではその可能性があるものの、ウサギでは胃酸の酸性度が強いことなどから、亜硝酸塩による中毒症は可能性が低いと言う説もあります。

芽キャベツに特に多く含まれていて、キャベツやカブ、カリフラワー等にも含まれている、甲状腺に異常を起こす可能性がある成分があります(ゴイトロゲン)。1920年代にウサギにキャベツを与えて、そこからゴイトロゲンの発見に至ったそうですが、おそらく実験のために毎日キャベツだけを与え続けていたのだと思います。キャベツでなくとも毎日同じものを一種類だけしか与えられなかったら、他にも何らかの異常が起こってしまうでしょう。ゴイトロゲン摂取は、なるべく少ないことには越したことは無いと思いますが、毎日大量にキャベツ等を与えることをしない限り、まず心配はいらないと思います。

最近は、無農薬、有機栽培等の野菜類が多く出回ってきていて、農薬の心配も軽減されてきていますし、硝酸塩やゴイトロゲン等を軽減させる栽培法や品種改良も行われているようです。

下痢をする?

野菜を主食にすると「水分が多くて下痢(または軟便)をする」と良く言われます。それはある意味では正しく、ある意味では間違っていると思っています。実際には野菜を与えて軟便や下痢をすることは少ないのですが、今までペレットを主食にしていて、急に野菜を与え出すと軟便をしてしまうことがあります。それは野菜の水分が原因の可能性はあります。しかし、上記「胃腸の成長」でもご説明しましたが、ペレットを主食にしていると、胃腸の成長不足が原因とも考えられます。簡単に言うと「胃腸が野菜に慣れていない」状態、だとお考えになられると良いかと思います。または、ペレットと同時にたくさん野菜を与えすぎると、タンパク質過剰となり盲腸糞を残したり、軟便をしてしまうこともあります。下痢をすることを野菜のせいのように言われますが、本当は野菜を食べたぐらいで下痢をしてしまう、そのウサギの体調や体質の方に問題があるのだと思っています。また、そのような体質のように育て作り上げてしまった、人間側に問題があるのだと思っています。

このような場合は次ページでも詳しくお伝えしますが、時間をかけてゆっくりと野菜を主食に変更していくことで、胃腸を慣らして行くことで解決します。

オシッコの量が多くなる

2匹で仲良くトイレ中(苦笑)

野菜は90%近くが水分です。それ故にオシッコの量もとても多くなります。ペレットにはオシッコの臭い消し成分が配合されているものもありますが、野菜はそうはいかないのでオシッコはペレット中心の食生活よりも臭くなります。(それでも、それほど臭くはありませんが)オシッコの量もペレット主食とは比べ物にならないほど多くなるので、市販のウサギ用のトイレ、そのトイレ用のウサギの砂等もオシッコで飽和状態となってしまい、ほとんどのもの使えなくなってしまいます。トイレやケージの掃除がたいへんになってしまいます。

手間がかかる

我が家の場合、ですが、野菜を買う金額としては、一匹で週に約3〜4000円以上かかっています。月に直すと1,200円以上となります。かつ、我が家では2匹いますのでそれの倍となります。年末年始は野菜が高くなるのでもっとかかります。我が家には冷蔵庫が2つあり、もちろんその一つはウサギの野菜専用です。

農薬を洗い落とすためにも野菜洗浄には毎日毎日時間がかかりますし、水道料金も高くなります。冬の寒い時期は洗うのも大変です。ケージの床に落ちた野菜の残りを掃除するのも大変ですし、金銭的にも、労働的にも負担は大きくなります。

その他、野菜主食否定意見

ウサギの食生活を野菜主食をすることを否定する意見としていくつか言われる「説」があります。

「野菜を主食にすると野菜の水分でお腹がいっぱいになってしまい、牧草やペレットを食べなくなるので、栄養が不足して痩せてしまう…」

実際に野菜を主食にしているウサギを見ればそれだけでも分かりますが、そのようなことはありません。今までペレット主食だったのを急に野菜主食に変えると、胃腸の状態から一時的に痩せたりすることはあります。しかしどんな食事内容でも同じだと思いますが、たくさん食べさせれば野菜でも立派に太ります。痩せてしまうのは、野菜を与える量が少なく足りなかったり、腸内の有用細菌の状態が良くない可能性があります。そのような場合は、再度食事内容や食事量を見直したり、健康診断を受けたりした方が良いと思います。もしも野菜の水分でお腹がいっぱいになってしまうのならば、うちのウサギ達はきっと水太りなのでしょう(苦笑)

「野草や牧草は立派な強い繊維質を持っていて、それを食べることで歯が磨耗して良い状態になるが、野菜だと繊維が柔らかいので歯には良くない」

上記、歯にも良い、のところで書きましたが、歯については柔らかい食事内容だから磨耗しないのではありません。たくさん食べて、たくさん噛むことが重要です。

「野生にニンジンや大根が生えていないから不自然」

確かに草原にニンジンが生えてはいませんが、では、野生下に一年中同じ種類のイネ科のチモシーが、乾燥した状態で生えているのでしょうか?大豆やトウモロコシ等が含まれているペレットが生る木でもあるのでしょうか?野菜も牧草もペレットもそもそも代用食に過ぎないと思いますが、より自然に近いのはやはり野菜だと思います。

「野菜だとタンパク質が不足する」

そのようにおっしゃる方はそもそもウサギの消化吸収のシステムをご存知ではないのだと思います。ウサギは腸内に酵母菌などの有用細菌を共生させていて、その細菌が分解して排出するタンパク質を多く含む盲腸糞を食糞することで食事だけでは不足するタンパク質を吸収します。

「昔に比べて野菜の栄養価が低くなっているから」

いくつかの統計や分析がありますが野菜の種類の中では確かに昔に比べると栄養価が低くなっているものがあります。でも、だからそれがどのような意味があるのでしょうか?栄養価が低いならば、より多く食べれば良いことだと思いますが…。

#1-06 ひとつの結論として、野菜主食のお勧め

以上のことから、「ウサギには野菜主食が一番健康的な食生活である」との結論を持っています。野菜を主食とする欠点はいくつかあり、農薬の毒性や甲状腺の異常を起こす物質などの問題点もあると思います。しかし、野菜の選択や与え方によって、それらの問題はかなりの部分解決すると思っています。その他の欠点として挙げたものについては、ウサギの健康的な問題と言うよりも、面倒である等の、人間側の問題が多く占めているのではないでしょうか?

人間側の問題と言えばペレットを主食にすること自体が、面倒ではない楽であると言う理由から作られてきた「ウサギの餌」なのではないかと思っています。

野菜主食へのきっかけ

我が家のウサギ達が野菜主食の理由ですが、最初に書きましたが、先代のウサギが歯を悪くしたことがきっかけです。その他でも野菜を主食にしたことで好転したこととして、腎臓(尿路)結石、定期的に起こしていたうっ帯、毛球症、肥満の改善等が経験的なものとして挙げられます。最初、一時期は不安感からペレットも兼用して与えていましたが、ペレットを全廃してから、それらの症状の改善はより良くなっています。

それらの意味でも、試行錯誤した結果としても、「ウサギには野菜主食」が一番良いと感じています。

#1-07 まとめと、お願い

皆様に「疑ってみられる」ことをお願いいたします。ペットショップの店員さん、ブリーダーさん、獣医さん、インターネット上のさまざまな情報、飼育本の内容。それらの方々に言われたこと、書かれていること、本当にそれがウサギ達の健康にとって役立つ情報なのか?と。その疑いは特定の人物や本を信用しない、と言ったような悪意を持った疑いではなく、より良い情報へ導くためのポジティブな疑いをです。色々な情報を総合してまとめるための疑いです。

同時にこの「うさぎの健康手帳」も、「うさぎにとって健康的な食生活とは?」も、同じように疑ってみてほしいのです。そして、皆様それぞれが、より良いウサギとの暮らしをウサギの健康とは何なのか?「ウサギ専門」などの肩書きだけを、ただただ鵜呑みに信用するのではなく、ウサギにとってより良いこととはどのようなことなのか?お考えになられることが大切なのだと思います。そして、その一部のほんのちょっとしたお手伝いができれば嬉しく思います。

うさぎの健康手帳は私達が経験したこと勉強したことや考えてきたことをまとめさせていただいているページで、先ず最初に我が家のウサギ達のために、そして、皆様のところのウサギ達のために作られたページです。ここに書かれている食生活は、我が家のウサギ達へ実際に行っているもので、それはこれが良いと、私達は考えているからです。しかし皆様が『野菜をあげなきゃいけないんだ!』と思われる必要は全くありません。皆様それぞれが、それぞれのお宅に共に暮らすウサギ達のことを思い、一番良いと思われる食事内容を与えてあげれば良いのだと思います。

ウサギ達にとって一番良い環境や食生活は、本当に本当のところはいつまでも見つからないかも知れません。人間には理解できないのものなのかも知れません。よりよいウサギ達への環境を求めて、自分自身をも疑う毎日です。ただし「ウサギは草食動物である!」と言うことは、決して忘れてはいけないことなのだと思います。皆様も、「この飼い方で、ウサギ達は幸せなのだろうか?」と、良い意味での疑いを持っていただければ幸いです。

ここまでお読みになられて、
「うちでは、野菜をあげてみたい!」と思われた方は、次ページ
「第二章◎実践編 野菜はおいしい!」へお進みください。

また「やっぱりうちは、ペレットが良いと思うわ!」
と言う方も、よろしかったらご覧になってみてください。

第二章◎実践編 野菜はおいしい!へ進む

inserted by FC2 system