第二章◎実践編 野菜はおいしい!

#2-01 お勧め野菜

ウサギが食べる野菜は数多くあります。お勧め野菜のリストと、それぞれの季節の旬の野菜をカレンダーにして、別ページとしてまとめてみました。

お勧め野菜リスト

旬野菜カレンダー

できるならば、プリントされて、冷蔵庫にでも貼っていただけると便利かと思います。

旬の野菜は栄養価も高いですし、反対にシュウ酸や硝酸塩が少なくなります。野菜の旬は地域地方により違いがあり、また、その年の気候や気温などによっても、多少のずれが出てきます。旬カレンダーは、基本的に関東地方の平均を表しています。

その他オヤツ等について

ウサギに与えてはいけないものとして、食パンや人間用のお菓子などもありますが、「ウサギは草食動物である」と言うことを知っていれば、そのようなものを与えてはいけないのだとお分かりになると思いますので、あえて書き出すことはしませんでした。同様に「ウサギのオヤツ」として市販されているものも、小麦粉や砂糖を使っていたりと、お勧めできるものはほとんどありません。

お腹の調子を整える目的で、ヨーグルトを推薦されることもありますが、ヨーグルトは元々動物性の脂肪等が含まれていて、基本的にウサギ等の草食動物には適さない食物だと思っています。

野菜を主食としている限り毛球症の予防にも適していますので、パパイヤやパイナップルの酵素を利用したサプリメント類も糖分が高いと言う意味もあり、あまりお勧めできません。

{ここで突然ですが、愛子@長寿うさぎ事務室から}
うちでは「明日葉・ケール・モロヘイヤ」は、あげないことにしている野菜です。同じ野菜食推進飼い主でも、細かい考えの違いがあります。みなさんも、自分の考えで野菜を選んでくださいね。また近年、栽培法の変化の影響で、でまわっている小松菜等の一部はかなりアク(硝酸塩など)が強くなっているそうです。成分が変化しつつあることも忘れずに。

#2-02 どのぐらい与えれば良いのか?

野菜と牧草を組み合わせてバランス良く

うちのウサギ達が
1回に食べる野菜(2匹分)

1日にどのぐらい与えれば良いのか?ですが、ウサギの場合その食べる量にかなりの個体差があります。同じ体重のウサギが2匹いたとしても、双方のウサギの食べる量は一定ではありません。これは、体質や運動量年齢等によってもかなり左右されますし、ウサギの胃腸内に住んでいる有用細菌の状態(数)でも左右されてくると思います。なのでそれぞれのウサギに合わせて、食べる量を手探りで決めて行かなければなりません。ある意味ではこれが野菜主食にする上での一番難しい点かも知れません。野菜主食だと栄養のバランスが悪いとか栄養が足りないとか言われますが、実際にはそうではなく、野菜主食にして、痩せ過ぎてしまったり、成長が遅くなったようなとか問題となるようなことが起こる場合、与える量が不足している、足りていないことがほとんどです。

野菜主食にする場合、最初はとくかく大量に!食べ残してしまうほどの量を与えてみるようにしてください。それから次第に食べる量を調整するようにしてください。

一例として

食べる量に個体差がある、と言うことの一例として、うちのウサギ達の食事量をご紹介します。(2007年現在)

ルドルフ 8才(月ウサギ)
ボケボケのんびりウサギです

8才のルドルフは、心臓病だった影響もあるのか?たくさん食べても太らない体質でした。体重は1.5キロ。1回野菜300グラム(洗う前の重量)牧草は食べ放題。野菜は朝晩の2回で合計600グラム程度になります。ただ好き嫌いが激しかったために、残さずに食べることは珍しいぐらいで、300グラム全量を食べきることはほとんどなかったです。食欲が落ちることが多かったため、そのような時には栄養補給の意味で、ペレットを少量与えていました。一日中かけてゆっくりと食べるタイプで、 硬い茎の部分は食べませんでした。牧草は食べ放題でしたが、それほど多くは食べませんでした。好みの野菜は旬で新鮮なもの。(と言うよりも、それ以外のものは食べてくれない(苦笑))ニンジンやオオバ等が好きでした。

白井(地下)足袋 8才
筋肉&脂肪たっぷり
ムチムチ君です(苦笑)

8才のオスのウサギの足袋は、体重1.9キロ去勢済み。1回に野菜約200グラム(洗う前の重量)それを朝晩の2回で夜にだけ牧草を軽く一掴み約10グラム程度与えています。野菜の1日の合計は約400グラム、プラス牧草10グラムになります。ペレットは全く与えていません。消化吸収が良いのか?これ以上与えるとすぐに太ります。栄養価の高い野菜を多く与えても太るので、ニンジンや明日葉等は、ほんの少ししかもらえません。野菜だけでなく、牧草でもすぐに太りますので、牧草食べ放題なんてとんでもないです(苦笑)食いしん坊なので、ご飯をあげると一気に食べてしまいます。硬い茎の部分も好き嫌い無く何でも食べますが、野菜よりも牧草の方が好みです。キャベツが好きなのですが、たくさん食べると軟便をすることがあります。

花緒 紬 4才
お腹の模様がチャームポイント(笑)

4才のメスのウサギの紬は、体重2キロ避妊済み。1回に野菜は210グラム。それを朝晩の2回で夜にだけ牧草を軽く一掴み約12グラム程度食べます。1日合計では野菜が420グラム、プラス牧草が12グラムになります。ペレットは全く与えていません。好き嫌いなく食べますが、ニンジン、水菜、キュウリ等、淡白な味の野菜を好みます。ゆっくり時間をかけて食べるタイプで、自分で食べる量を調節してくれるので、食べ過ぎることはほとんどありません。硬い茎の部分は残すことがあります。

このように1.5キロ。1.9キロ。2キロと言う、3例のウサギ達でもこれほど食べる量が違いますし、それぞれの好みも色々あります。特定の野菜で、例えばキャベツ等を与えると軟便をするウサギもいたりします。

「体重○○キロのウサギには○○グラムの野菜を与えましょう!」のように、具体的に野菜の与える量は決定できません。また、体重の○%の量を与えましょう!のようにも簡単に言えません。

野菜を主食にする場合は(野菜でなくても、ペレットや牧草でも同じです)体調、ウンチやオシッコの状態、体格や体重を見ながら、与えるご飯の量は調整してあげることが必要となります。それには毎日の生活の中から、適正な食事量を見つけなければなりません。野菜を主食にする場合のどれぐらい与えれば良いのか?の注意点は、「臨機応変」と、「体調、体質に合わせて」となるかと思います。

ウサギの必要熱量について

定期的に体重を計りましょう

大型のウサギの方が多く食べると思われがちですが、そうとも言い切れません。小型のウサギ(ドワーフ種など)の方が代謝率が高いのか?より多くの栄養を必要とします。体重1キロ程度のウサギと、2キロのウサギとでは、その体重比では小型のウサギ(ドワーフ種)の方がより多く食べますし、野菜を主食にする場合はより多くの野菜を必要とします。または野菜だけでは足りない場合は、ペレットを栄養補助食として組み合わせてみるのも良いかと思います。

小型のウサギでは野菜を主食にする場合はより注意が必要で、体重を定期的に量ったり、体調、体格の変化に注意しながら野菜を与えてあげてください。

最近、ペレット主食、野菜主食に限らず、たくさん食べているのに太らない、激痩せていくような、原因不明な症状を示すウサギが少なからず存在します。仔ウサギ、大人のウサギに限らず野菜、ペレット等をきちんとたくさん食べているのに、太らない、体重が増えない、痩せているような場合は、何らかの病気の可能性もあります。エンセファリトゾーンの抗体検査を含めた、きちんとした検査を受けることをお勧めします。

必要タンパク質量について

必要タンパク質も、必要熱量(カロリー)の一部に入ります。ウサギの必要タンパク質の量について、具体的な数値を表しているものもあります。しかしウサギの場合、腸内に共生させている「ウサギ由来」の酵母菌が繊維質などを分解してタンパク質を排出します。その排出されたタンパク質は主に食糞される盲腸糞に多く含まれていて、25〜28%程度含まれていると言われています。(酵母菌の状態、数によっても違ってくると思われます)つまり、ウサギは必要な熱量やタンパク質の全量を、食事として摂取する必要は無いのです。

つまり、ウサギの必要熱量やタンパク質についても、必要とされる数値の全てを食事として与える必要はなく、単純に計算することはなかなかできるものではないのだと思います。

副食として牧草

野菜主食で、野菜だけ与えていても何も問題はありません。牧草も与えたい場合でも(ペレットも同様ですが)乾燥したものを主食にはせずに、あくまでも副食として考えて、世間一般で言われるような牧草を食べ放題にすることは避けた方が良いと思います。うちの場合では、牧草はオヤツ程度として少量与えています。

飲み水について

野菜を主食として与えると飲み水はほとんど飲みません。うちのウサギ達で言えば、水を飲んでいる姿を見ることは全くと言って良いほどありません。野菜の水分だけで足りているからだと思います。しかし、全く飲み水はいらないと言うことではないので、野菜を主食にしていても新鮮な飲み水は必ず用意してあげましょう。

#2-03 栄養バランスを考える

ペレットは栄養のバランスが取れていると言われていますが、「栄養のバランスが良い」ということは、毎日同じだけの成分や栄養や熱量を食べていると言うことではなく、色々な成分や栄養や熱量のあるものを食べて、総合的に色々な栄養が摂れていることが、栄養のバランスが良い!のだと考えています。野菜主食にすることでその栄養のバランスを良くするためには、色々な野菜をまんべんなく与えることで解決します。もちろん細かく野菜の栄養価を計算してみるのも良いですが、そこまでする必要もなく色々な種類の野菜を与えることで、自然と、だいたいきちんと毎日栄養のバランスが取れる食生活を実現できます。

野菜の選び方、購入の仕方

無農薬、有機栽培>減農薬、低農薬
のようにできるだけ農薬の少ないものを購入しましょう。ただし、無農薬のものでも、新鮮ではないものは選ばないようにしましょう。

特にこれが重要だと思いますが、それぞれの季節の旬の野菜で、新鮮なものを購入するようにしましょう。旬の野菜はシュウ酸や硝酸塩も少ないですし、新鮮な野菜はビタミンミネラル類も豊富です。

JA主催の野菜市場
採れたての新鮮な野菜が並びます

季節外れの野菜はハウス栽培されていることが多いですが、ハウス栽培の野菜は、シュウ酸や硝酸塩も露地栽培物よりも高い傾向にあります。農薬も太陽光(紫外線)により蒸発するので、直射日光に当たらないハウス栽培物はより農薬が残留している可能性も考えられます。旬の野菜でもハウス栽培物ではなく、露地栽培のものを選択するようにすると良いでしょう。もちろん無農薬の野菜の方が良いと思いますが、無農薬栽培や有機栽培のものは、虫がついてしまう前に早く大きく育てたいと言う理由から肥料の量が多くなってしまっている場合も考えられます。となるとシュウ酸や硝酸塩が高くなっている場合もありますので、単純に無農薬だから良いとも言い切れないかも知れません。

輸入物の野菜は、農薬が強くかかっている(残っている)ことがあります。実際に輸入のセロリやほうれん草等で、とても高い濃度の残留農薬が検出された例もあります。新鮮さの面でも輸入の野菜は避けた方が無難だと思います。

農薬に使用する薬品の種類は数々あり、ここでは細かく追求することはできませんが、国産の野菜に使用されている種類の農薬は、水で洗い流しやすい種類の農薬を主に使っているようなので、少なくとも、野菜の葉や茎の表面に着いてい農薬は洗うことでかなり落とせると思います。また、近年の残留農薬の検査でも、無農薬ではなくても、測定値以下の数値のものが多く、安全性は高くなってきているようです。生産者や地方が表示されているようなきちんとしている野菜を購入するようにしましょう。

旬の時期にきちんと自然な方法で無理なく栽培された野菜が無農薬でなくても、栄養価も優れていますし、シュウ酸や硝酸塩も少なくなり「良い野菜」だと言えるかと思います。

どんな種類の野菜を与えれば良いのか?

色々な野菜を
バランス良く与えましょう!

その季節の旬のもの、新鮮なものを中心にバランス良くメニューを考えて、1回に、5種類以上の野菜をミックスして与えることが重要です!そうすることで、自然と栄養のバランスが良くなります。

良い一例として。

小松菜、グリーンリーフ、
パセリ、セロリ、ニンジン etc...

と言うようにシュウ酸の高いものにはカルシウムの高いもの、栄養価の高いものと低いものを、と言うような感じで組合わせるように野菜を選択します。

良くない一例

小松菜、パセリ、ダイコン葉、オオバ etc...

のようにカルシウムやシュウ酸が多い野菜ばかりを並べたり。

明日葉、ダイコン葉、ニンジン etc...

のように栄養価の高いものばかりを並べるのも肥満の原因になるかねないのであまりお勧めできません。野菜主食の上で何よりも大切なのはそのバランスです。

カルシウム尿について

カルシウム尿が毎日のように出たり大量に出る場合は、過剰摂取の可能性もあるので、カルシウムの高い野菜を控えめにしたり、レタス系の水分が多くカルシウムの低い野菜と組み合わせるなど、工夫なさって与えてみてください。

ウサギはグルメ?

家庭菜園 明日葉

今まで喜んで食べていたある特定の野菜を、急に食べなくなることがあります。その野菜の葉の部分は喜んで食べるのに、茎の部分だけは残してしまうこともあります。また、一口食べて止めてしまうようなこともあります。(例えば、小松菜は普段は好物なのに、ある日買ってきた小松菜は食べなかったのような)それは、もしかしたらその野菜の鮮度が落ちているのかも知れません。シュウ酸や硝酸塩がたくさん含まれているのかも知れませんし、農薬が多くついているのかも知れません。

ウサギの舌にある味蕾は(「みらい」味を感じ取る器官)あの小さい舌なのに人間の舌よりも数が多く、それだけに味にもとても敏感です。自然界では毒素を含んでいる野草類もあるので、それを区別するために味覚が発達したのだと思います。人間でもシュウ酸が多く含まれている野菜を食べると、苦味や酸味があったり、舌がピリピリと痺れるような味を感じたり、反対に甘味が感じられないことがありますが、味覚が優れているウサギ達には、シュウ酸や農薬の味がより分かるのではないかと思います。なので、ウサギの味覚を信じてみるのも重要かと思います。

#2-04 野菜を洗う、農薬を落とす

やはり残留農薬は少ないに越したことはありません。農薬を一番落とせる調理法は「油で揚げる」ことのようですが、ウサギはニンジンの天麩羅は食べてくれません(笑)残された農薬を落とす方法として、とにかく「洗う!」ことをします。野菜や農薬の種類、農薬を散布の仕方や時期などでも大きく違ってきてしまうのですが、野菜を水で洗うことで、30〜99%程度農薬を落とすことができるようです。

皮をむける野菜、例えばニンジンやカブの実などは、皮をむいてしまえばそれだけで90%以上の農薬が落とせるそうです。キャベツやレタス系の野菜なら、外側の葉を数枚むいて捨ててしまえば、ニンジンの皮をむくのと同じようにほとんどの農薬を落とすことができるようです。

野菜を洗います

このようにオケ等に野菜を入れて水を流しっぱなしにします。水を流しっぱなしにして、農薬を流してしまうことが重要で、約5分以上水を流して洗うとより効果的です。かつ、時々振り洗いをして水も交換すると良いでしょう。洗剤は使いません。洗剤のにおいが残っているとウサギは食べなくなることもありますし、体にも良くありません。

その後念を入れてひとつひとつの野菜を手でこするようにして洗います。葉が細かい春菊や、葉にヒダがあるサニーレタスような野菜は、その葉の部分に農薬が残りやすいのでより念入りに洗います。ここまですれば、少なくとも野菜の表面についた農薬はかなり洗い落とせます。

サニーレタスなどレタス系の野菜に多いですが、洗っていると泡が出るものがあります。それは野菜の表面にある油分がそのように泡になりますので、特にご心配はいりません。また、ブロッコリー等が水をはじいてしまうことを、農薬のせいだとしていることもありますが、無農薬でも同じ様に水をはじいてしまいます。これもレタス等と同様に元々表面についている油分や、表面に生えている細かいうぶ毛のようなもののせいで水をはじいてしまいます。

野菜の農薬を落とす効果があると言われる洗浄剤もあります。

野菜の洗浄剤「安心やさい」

ホッキ貝の殻から作くられている成分で、野菜などの除菌農薬の洗浄ができると言われている商品です。どの程度農薬が除去できているのか?家庭内で詳しく調べることはできなので、正直言ってはっきりとは分かりませんが、野菜を洗浄剤に漬け込んだ水は、ただの水よりも汚れが落ちています。商品の説明は「サーフセラ株式会社」

その他にも野菜専用の洗浄剤もありますが、中にはアルコールが含まれている商品があり少々注意が必要です。ウサギ用の野菜を洗浄する時には良くすすぐ等の注意が必要かと思います。(ウサギはアルコールに弱く、腎不全を起こす危険性があります!)

野菜用の洗浄剤をお使いになっても良いと思いますが、水で良く洗浄するだけでも十分に農薬は落とすことができます。

水を切る

サラダ・ドライヤー
(OXO社製 サラダ・スピナー)

野菜を洗った後余分な水を切ります。ザルに入れて振って水気を落としてたり、フキン等で水気を拭き取っても良いですが、「サラダ・ドライヤー」または「サラダ・スピナー」等という、野菜の水を落とす器具もあり、お使いになると便利です。

ちょうど洗濯機の脱水のように中のザルの部分を回転させて、野菜についた水気を落としてくれます。

野菜を切る

ニンジンやカブなどの実や根菜、セロリなどはスライスしてあげましょう。すでに歯が悪いウサギの場合には、他の葉野菜もできるものはスライスしたり千切りにしてあげて、より歯に負担がかからない形にして与えることも重要です。

野菜を切るのにはまな板と包丁が必要ですが、まな板や包丁に、例えば肉や玉ねぎを切った時のにおいが残っていると、ウサギはそれを敏感に嗅ぎ取って、野菜を食べなくなることがあります。ウサギに与える野菜専用のまな板を別にご用意なさった方が良いと思います。

野菜についている虫

野菜に虫が着いていることがあります。それはその野菜に農薬がかかっている量が少ない、と言うことでもあるので、虫が着いていた場合は喜ばしい!とお考えください。野菜を洗えば虫は取れてしまいます。葉の中に卵が入っていることがありますが、見つけたら取り除くようにされると良いかと思います。しかしあまり神経質になられずとも、ウサギが少しぐらい食べてしまっても大丈夫ですので、ご心配はいらないと思います。

#2-05 ペレット主食からの切り替え方

食事の内容を変える時には注意点がいくつかあります。今までの食生活から急に違った食生活へ変えないことが大切です。食事内容を変えたために急に痩せてしまったりすると、体内の脂肪分が肝臓にたまり脂肪肝になる可能性もあります。 食事の内容を変える場合は、徐々にゆっくりと状況によっては数ヶ月から1年ぐらいかけて食事内容は十分に注意して変えて行く必要があります。

特に今までペレットを主食としてきたウサギで、かつ牧草も食べていなかったウサギが、野菜主食へ切り替える場合はより注意が必要です。牧草を食べていた場合は、特に問題なく野菜主食へ切り替えが進む場合が多いですが、ペレットだけしか食べていなかったウサギは、胃腸がちゃんと成長していない場合があるので、急に野菜を与えると軟便や下痢をしてしまうこともあります。今までペレットしか与えていなかったウサギは、より徐々にゆっくりと食事内容を変えて行く必要があります。

野菜を与えて軟便をしてしまうと『うちのウサギは野菜が合わないのかしら?』と、野菜をあきらめてしまう方もいらっしゃいますが、しばらく野菜を続けて与えていると胃腸の状態が野菜に慣れてくるので、次第に軟便はしなくなるようになります。あきらめずにしばらく続けてみることも大切です。ただし、キャベツ等特定の野菜で軟便をするウサギがいますので、様子を見ながら与えることも必要です。

年齢によって

ウサギの年齢によっても、野菜主食へ切り替える期間を考えてあげる必要があります。

仔ウサギにはペレット食べ放題が常識?

つむぎ、生後一ヶ月時
まだ小さい口で
一生懸命食べています(笑)

成長期である仔ウサギの時期にはペレットを食べ放題が常識!と言われています。しかし、その成長期である仔ウサギの時期にこそ、野菜こそを食べ放題にして健康な歯や胃腸や体を作ってあげることが何よりも重要だと考えています。

仔ウサギの時期には、何よりも成長を最優先したいので、野菜主食でも大丈夫なのですが体調や成長の度合いを見ながら、ペレットも合わせて与えて行くことも必用だと思います。

生後一ヶ月程度の幼い仔ウサギの場合は、ショップでもしも牧草を与えていたとしたら、一週間から数週間程度で今までの食生活から、野菜主食の食生活へ変更することができると思います。もちろん、体調等の様子を見ながら食生活を変更することはとても重要です。定期的に体重を測定して、増えていることを確認しましょう。

ちなみに、うちのウサギは生後1ヶ月程度の月齢でショップから購入しましたが、そのショップでは牧草も与えていてくれたおかげなのか?3日程で野菜主食に変えることができました。野菜を主食にしても下痢をするとか成長不足になるなどのことは何もありませんでした。

ショップやブリーダーのところで牧草を与えていない場合は、もうちょっと時間をかけて数週間から数ヶ月かけて、ウンチやオシッコの状態、体格や体重にも良く注意をしながら、徐々にゆっくりと食事内容を変更させてあげましょう。最初はほんの少しだけオヤツ程度に野菜を与えてみましょう。下痢をするとか、体調の異変を感じた時はすぐに野菜は止めて、今までのペレット主食に一時的に戻してみましょう。

仔ウサギの時期には、ペレットで言われるように野菜も食べ放題が基本です。食べきれる量ではなく、食べ残すぐらいの量を与えるようにします。仔ウサギの食べる量は、そのウサギが大人になったときと同じ量を食べる、と覚えていてください。身体の小さい仔ウサギもそれだけたくさんの食事を必要とします。かつ体を丈夫にするためにも栄養価の高い野菜、カルシウムの高い野菜もどんどん与えて行くようにしましょう!

野菜を食べてくれない仔ウサギの場合

仔ウサギで野菜を食べてくれなかったり、野菜を食べる量が少なくて成長が遅れているように感じた場合は決して無理をせずに、今まで食べていたペレットを与えるようにしてください!仔ウサギの時期には、やはり成長を一番に考えたいからです。ペレットや野菜を食べているのに、体重が増えないような場合(成長していない)何らかの病気の可能性もありますので、獣医師に相談してください。

ペレットを主食にする場合でも、将来、野菜主食を目指したいのならば、食べなくても少しでかまわないので野菜を餌箱の中に入れておいてあげてください。もしかしたら、お腹が空いたら食べてくれるかも知れません。仔ウサギでも、大人のウサギでも、食事内容の変更には時間をかけて徐々にが鉄則です。かつ、色々な種類の野菜をまんべんなくミックスしてあげることも重要です。

大人、高齢のウサギ

3才以上のウサギの場合はより注意が必要です。ウサギは食に頑固なところがあり、今まで食べていたもの以外は「食べれるもの」と認識しない場合もあります。今までの食生活から違う食生活へ変えることが難しい場合もあります。野菜を食べさせること自体も難しい場合もあります。その場合でも毎日少しでも野菜を与えてみたり、色々な種類の野菜のうちに数種類食べてくれるものがあるので、少しずつ焦らずに野菜を与えて行くことが重要です。

野菜を食べてくれない場合の対処法

大人のウサギで野菜を食べてくれない場合に、野菜を食べさせる方法がいくつか考えられます。

とにかく根気良く

ここあちゃん、もーちゃん、
ノワちゃん(左から)
仲良く(奪い合って?(笑))
野菜を食べてます

食べなくても、とにかく毎日少しでもかまわないので根気良く野菜を与えてみましょう。飼い主の手から直接与えてみるのも良いでしょう。色々な野菜をまんべんなくミックスして与えることが重要ですが、その中にもしも嫌いな野菜が含まれている場合は、その他の野菜も全て食べなくなってしまうことがあります。おそらく、においとかが混じってしまい、好きな野菜までも食べたくなくなるのだと思います。そのようなことを防ぐために色々な野菜をミックスして与える時に、それぞれの野菜が別々の位置に置いて重ならないように、大きめの平皿のようなものに野菜を並べて与えてみましょう。

強硬手段的な方法としては、ある日、半日野菜だけを与えてみて、ペレットをあげないでみる方法もあります。例えば、夕飯に、野菜しか与えないようにしてみます。お腹がすいたら、しかたなくでも野菜を食べてくれるかも知れません。ただし、この強硬手段は半日以上行わないこと!それを、週に1回ぐらいやってみて様子を見ながら、徐々に野菜を食べることに慣れさせてあげましょう!

#2-06 このページのまとめ

野菜主食は難しい?

ウサギの食生活で、野菜を主食にすることは、栄養のバランスや、シュウ酸やカルシウムの関係、どのぐらい与えれば良いのか?等、難しいものだと思われたかも知れません。でも、本当はそれほど難しく考える必要は無いのだと思っています。単純にその季節季節に合った旬の新鮮な野菜を色々と、まんべんなく与えていれば、自然と栄養的にもバランスが良くなり、まず問題は無いと思っています。

ウサギの食生活、野菜主食のお勧めについては、私達が一番お伝えしたいテーマでしたが、構想からここまで出来上がるまでに1年以上かかってしまいました。まだまだ、おそらくいつになっても未完成なページだと思います。

統計で9割程度のウサギがペレット主食ということは(通院しているウサギではありますが)野菜主食のウサギは残りの1割に含まれます。でも、その1割の中には牧草主食のウサギも多いので、いったい野菜主食のウサギはどれぐらいいるのか?想像がつきません。そのためかと思いますが、一般的に売られているウサギの飼育書やウサギの関係のホームページでも、ウサギに野菜主食をお勧めしているところがほとんど無い、と言うのが現状で(それについては正直、ちょっと驚いてしまいましたが)、ウサギと野菜の関係、シュウ酸や硝酸塩の影響なども、はっきりと具体的に分からない・・・と言うところがたくさんあります。なので、人間や他の動物達のことを参考にしたり、想像するしかない部分もありました。また、細かくご説明をと思うと、内容が難しい方向へ進んでしまい、それを分かりやすくまとめようとするのが一番難しいことでした。

私達は、このようなことから、ウサギには野菜主食が一番だと考えていますが、皆様もそれぞれがお考えになられて、ウサギ達に良いと思われる健康的な食生活を送らせてあげてほしいと心から願っています。

うさぎにとって健康的な食生活とは?小冊子版発売1年経って

うさぎにとって健康的な食生活とは?の
小冊子版もあります。
動物病院で販売させていただいています。

2009年5月現在、「うさぎにとって健康的な食生活とは?」をネット上に公開しはじめて約5年になります。小冊子を販売させていただくようになってからも1年ほど経ちました。野菜を与えると下痢をするだの栄養が不足するだののご意見も相変わらずありますが、小冊子版を動物病院で販売させていただいて、野菜を主食にしたことで体調がどう変化したのかなど獣医さんにお聞きする機会も増えてきましたが、それらの野菜を与えることを否定されるご意見のほとんどが間違っていることは明らかになってきたと思っています。

ある獣医さんのご指導が元になり、うちのウサギ達に野菜を主食として与えるようになってからはもう12年以上になります。うちのウサギ達でも、不正咬合の改善、定期的に起こす軟便がなくなった、(尿路)結石がたまらなくなった等体調が改善されたことはたくさんあります。(もちろん与え方を間違わなければですが)反対に野菜を主食にしたことが原因で体調を崩したとか栄養障害が出たとかは全くないと言っても良いかと思います。野菜を主食にすることが良いとか悪いとかの議論するような段階はもう過ぎてしまったと思っています。今では「ウサギに野菜を主食として与えることは健康に良い!」と自信を持ってお勧めできるようになりました。

次に、応用編へ進みます。
体調や病気の状態に合わせたメニューを考えていきたいと思います。

「第三章◎応用編 ケース別お勧めメニュー」へ進む

inserted by FC2 system