第三章◎応用編 ケース別お勧めメニュー

野菜には色々なビタミンやミネラル類を含んでいます。その他でも特殊な効果をもたらす成分も含まれていて、主食にしていると野菜の種類を調整して与えることで体調や、病気の症状の改善などを期待することもできると思います。

色々な成分からの効果だけではなく東洋医学的、薬膳的な考え方も含めて、それぞれの状態に合うお勧めなメニューをご紹介いたします。

しかし、これらのことは動物病院で行うような治療を目的としたものではありません。言わば「民間療法」のようなものだとお考えください。具合が悪いウサギは必ず動物病院で診察治療を行った上で、あくまでもご家庭でのフォローだと言うことを憶えておいてください。

個体差が大きいウサギ達なので、必ずしもこれがベストだとは言い切れないとも思います。また、基本的にそれぞれの効能などは、人間で言われている効能であるので、ウサギに直接効能があるのかははっきりとは分かりません。しかし、それぞれのお勧めメニューに使われる食事内容は、ウサギが普通に食べる野菜類なので薬のように副作用とかもありませんし、食生活の一部として自然に与えることができるところが良いところだと思います。

ダイエット

もしも、今までペレットを主食にしてきて肥満になってしまったウサギには、ペレットから野菜を主食にするだけでもダイエット効果が期待できます。

しかし野菜も栄養価が高いものも多く健康な状態のウサギならば、野菜をたくさん与え過ぎれば肥満になります。与える量や牧草と合わせて与える工夫も必要だと思います。

ダイエットで一番重要なのは「急激に痩せさせないこと!」です。ウサギは、急激に痩せてしまうと体内の脂肪分が溶け出して脂肪肝となり 肝臓を痛める可能性もあるのでダイエットは十分に注意して行う必要があります。それにはいきなり食事内容を変えてしまったり、急に食事量を減らすのではなくゆっくりと徐々に行うようにしてください。

ダイエットにお勧めの食事

サニーレタス・グリーンリーフ等のレタス系の野菜。セロリ・キュウリ等の水分が多い野菜。オオバ(糖分の吸収を阻害する作用があります)等を、日頃のメニューに加えます。

注意点として、レタス系やキュウリは繊維質の少ない野菜なので、あまり多く与え過ぎるとお腹の調子を崩す可能性がありますので、適度に与えるようにしてください。また、上記の野菜だけを与えるのではなく、色々な野菜をまんべんなくミックスして与えることが重要です。その中に、上記の野菜や牧草を中心的に加えるようにしてください。

妊娠、出産、授乳期
仔ウサギ
病中病後等、高い栄養を必要な時

妊娠出産授乳期、仔ウサギ、その他、何らかの病中病後のウサギには、栄養価の高い食生活をさせる必要があります。

栄養補給にお勧めの食事

明日葉・小松菜・ニンジン・オオバ・ケール等の高カロリー、高タンパクの野菜類

小型のウサギや(ドワーフ種のような)成長期のウサギには、それでも栄養が足りない場合もありますので、まず、成長を第一に考えて、ペレットを合わせて与えることも必要かも知れません。

注意点として、上記の野菜だけを与えるのではなく、色々な野菜をまんべんなくミックスして与えることが重要です。その中に、上記の野菜等を加えて、色々な野菜を量も多めに、食べ放題のようなつもりで与えてください。

歯の病気の予防 治療中の食事

どのような病気でも同じですが、治療には何らかのリスクは伴うと思います。歯の病気に限らず、その他の色々な病気に治療や外科的な処置もそうですが、投薬でも副作用が必ずあると言っても過言ではないかと思います。病気を治すことを考える以前に予防することを考えることが何よりも先決で大切なことだと思います。それがいわゆる予防医学にあたります。不正咬合等の、歯の病気の予防としては、野菜や牧草を主食にすることだけでも、かなりの効果があると思います。

すでに歯の病気になっている場合

すでに、何らかの歯の異常や病気になってしまっていて、現在歯の治療中のウサギにも、同じく野菜をメインにすることで、治療効果が高まったり、現在の状態よりも悪化を防ぐ効果も期待できると思います。

不正咬合や、歯並びの悪い状態。歯が抜けてしまっていたり抜歯した場合には、牧草は控えるか、または柔らかい3番や2番牧草を与えるようにして、硬い牧草は控えるようにした方が良いとされています。硬い牧草は抜歯した部分等、歯茎が出てしまったいる部分や、歯に隙間ができてしまったいる部分に刺さったりして、より歯の状態を悪化してしまうことも可能性としてあります。歯の状態が悪いウサギには柔らかめの食生活も必要だと思います。

歯が悪い場合は糖分の高いフルーツ類や、炭水化物が高いものは、虫歯になりかねなかったらり歯の状態をより悪化させることがありますので与えないようにしましょう!

何本も歯抜けてしまったいたり、抜歯してしまっている場合は、野菜も摩り下ろして与えたり、ペレットを与える場合も水でふやかして柔らかくして与える必要もあります。

野菜を主食にすることで、歯の状態を悪化させるのを防ぐ効果があり、良い効果を期待できる食事内容もあります。

ニンジンに多く含まれるβカロチンは、体内に元々持っている唾液に含まれる「溶菌成分」を増強させる作用があります。その他、βカロチンが多く含まれている野菜としては、パセリ・明日葉などがあります。

明日葉は、免疫力を増強してくれます。

オオバは、殺菌作用が強く、食べると、口の中の殺菌も期待できのではないかと思います。

歯が原因で起きる膿瘍も炎症が原因になっていて、炎症を抑える意味で体を冷やす効果がある野菜もお勧めです。

キュウリ・セロリ・レタスは、体を冷やす効果があります。

また、医学的な根拠は無いのですが、野菜を主食としているウサギは歯が原因の膿や、その他の膿でも、普通はチーズ状態に硬いウサギの膿が、柔らかいことが多いような気がしています。それが野菜の何による効果なのか分からないのですが、野菜のビタミン類や水分が多いことが助けになっているのかも知れません。

注意点として、キュウリやセロリは体を冷やしますので、お腹の調子が悪いウサギにはあまり多く与えない方が良いかも知れません。また、上記の野菜だけを与えるのではなく、色々な野菜をまんべんなくミックスして与えることが重要です。その中に上記の野菜等を加えて与えてみてください。また、歯の治療を目的としたものではないので、具合が悪いウサギは必ず動物病院での治療をしていただきながらご家庭でのフォローとして行ってください。

胃腸病

ウサギにも、胃腸の病気は数々の種類や原因があります。それぞれに合った食事内容を考えてみましょう。

毛球症

毛球症には、たくさんの繊維質と水分を摂らせることで予防や治療に役立ちます。それには、特定の種類の野菜ではなく、野菜全般的に効果が期待できます。

サニーレタス・キュウリ・セロリ等の、水分の多い野菜。

カブ・ニンジン等の根菜類は、胃腸を温める作用があると言われ、胃腸の動きが悪い時にはお勧めです。

明日葉は胃腸に良いと言われています。

下痢

下痢には、色々な原因がありますので、単に下痢だと簡単に考えずに、ウサギが下痢をした場合は動物病院で診察をしていただきましょう。特に、仔ウサギの下痢、水状態の下痢、半透明なブヨブヨした下痢が出た場合は要注意なので、すぐに診察を受けましょう!

明日葉・カブ・ニンジン等、胃腸に良い野菜、胃腸を温める野菜がお勧めです。

オオバは殺菌作用があります。

下痢には繊維質を与えることも重要ですが、全く食欲が無く、胃腸の動きが無い場合は、繊維質を多く与えてしまうと、消化不良を起こすこともありますので、その場合は、繊維質を控える必要があります。食欲が無い場合は、強制給餌も必要となることもありますので、獣医さんにご相談の上、対処なさってください。

便秘

便秘にも原因がさまざまあり、下痢と同様、便秘している=胃腸が具合悪い、とも言い切れません。また、便秘している場合は、同時に食欲を無くしている場合が多いと思うので、これも、すぐに動物病院での診察、治療を受けましょう!

グリーンリーフ・サニーレタス・キュウリ等、水分の多い野菜。

キュウリ・サラダ菜・セロリ・パセリ・タイム・レタスは食欲増進作用・便秘に良い野菜。

注意点として、上記の野菜だけを与えるのではなく、色々な野菜をまんべんなくミックスして与えることが重要です。その中に、上記の野菜等を加えて与えてみてください。また、胃腸の治療目的としたものではないので、動物病院での治療をしていただいた上で、ご家庭でのフォローとして与えてください。

ストレス軽減

例えば、入院とか、何らかのストレスがかかることが予想されるような時に。

レタス(丸いもの)・セロリ・三つ葉

レタスには「ラクッコピコリン」と言う、眠気を誘う成分が入っていると言われています。

セロリの香り成分に含まれる「アイピン」は神経を静める作用があり、イライラする気持ちを押さえてくれると言われています。

三つ葉の香り成分は「クリプトテーネン」と言う成分で、神経を静める効果があると言われています。

注意点として、上記の野菜だけを与えるのではなく、色々な野菜をまんべんなくミックスして与えることが重要です。その中に、上記の野菜を加えて与えてみてください。

暑い、寒い

夏場の暑い時期には、体を冷やす効果がある野菜を与え、冬場の寒い時期には、体を温める野菜を与えるのも良いでしょう。

基本的に、夏場に旬の野菜類は、体を冷やす作用があり、冬場に旬の野菜(特に根菜類)は、体を温めてくれる作用があります。

暑い季節には、夏が旬の野菜。
キュウリ・セロリ etc…

寒い季節には、冬が旬の野菜。特に根菜。
ニンジン・カブ・春菊 etc…

注意点として、上記の野菜だけを与えるのではなく、色々な野菜をまんべんなくミックスして与えることが重要です。

炎症

体のどこかに炎症がある場合には、その部分が発熱していますので体を冷やしてあげることで治療効果を高めると思います。

そんな体を冷やす野菜は、上記、膿瘍でも書きましたが、
キュウリ・セロリ・レタス 等があります。

薬膳的な考え方では、苦い味の野菜が体を冷やす効果があるとされています。

注意点として、どれも体を冷やす効果のある野菜なので、お腹の調子が悪いウサギにはあまり大量には与えない方が良いかと思います。また、上記の野菜だけを与えるのではなく、色々な野菜をまんべんなくミックスして与えることが重要です。その中に上記の野菜等を加えて与えてみてください。

その他、色々な症状や状態に合わせたメニューを、順次更新して行く予定です。

まとめとして

このページのお勧めメニューは、私達が経験してきたことや、勉強したり考えたことを元に作成しています。実際に与えてみて効果的な感じだったものを中心にお勧めしていますが、それぞれの効果がどれほど期待できるのかは正直言って良く分かりません。このメニューにすれば「良いかも知れない!」程度のものなのかも知れません。過剰に効果を期待できるものではないかも知れませんが、何かの病気の治療中にご家庭でできるフォローとしては良いのではないかと思います。

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