うさぎの子宮疾患と避妊手術


子宮疾患になる確率

メスのウサギは子宮系の病気になる確率がとても高いと言われています。
子宮の疾患は子宮ガンをはじめ、
子宮内幕ポリープや蓄膿症や水腫等があります。

いくつかの統計がありますが高目の方の確率では、
以前は5才のウサギで約50%の確率で、
子宮ガンになっていると言われていました。
最近の統計では3才のウサギでも50%近い確率で、
5才では80%も子宮ガンに罹っていると言われています。
動物病院へ通院しているウサギの中からの統計のようですし
そこまで高いのか・・・?と疑問に感じる部分もありますが、
50%だとしてもかなりの高確率だと思います。
我が家の場合では避妊を受けた1匹以外の3匹のメスウサギでは
全員子宮疾患に罹っていて確率は100%となります。
友人宅のウサギ達の例を見ていてる実感としてもかなり確率は高いように感じます。

このページでは、その子宮系(生殖器系)の病気と避妊手術のことを考えてみたいと思います。
子宮ガンをはじめとする子宮系の病気は
正しい避妊手術を受けることで100%予防することができます。
繁殖をしないのであればその確率のとても高い子宮系の病気の予防的な意味でも
避妊手術を受けるかどうか考えてみることも必要なのではないか?と思います。

しかし避妊はお腹を切る開腹手術となりますのでそれなりの危険も伴います。
手術中や麻酔の事故、術後に食欲が回復しないことでの死亡例も存在しますので、
単純に避妊手術をすれば良いというものでもありません。
かと言って、避妊手術をしないで子宮疾患の予防に何ができるのか?と言っても、
これぞと言うものは見つからず、悩ましいところでもあると思います。

このページは避妊手術をお勧めすることを目的で作ったものではありません。
ウサギの子宮系の病気はどのようなものなのか?
予防として選択肢のひとつである避妊手術はどのようなもので、注意点はどこにあるのか?
客観的にお伝えすることで、
ご一緒にお考えになってくださることを願って製作しました。


子宮系の病気

子宮系の病気にはいくつかの種類があります。

症状

どの子宮系の病気も初期ではほとんど無症状です。
飼い主が見つけるのも困難ですし、
レントゲンなどの専門的な検査でも発見しにくい病気です。

子宮系の病気に共通した症状としては。

・乳腺の腫れ
・下半身が太った感じになる。
・間欠的、または連続した(血尿と間違われる)出血
・食欲不振、反対に食欲過剰になることもある
・性格的に凶暴、粗暴な感じになることもある
・不妊症

症状はどれも他の病気、
単なる肥満だと思われたり、
食欲不振になると毛球症のようなものだと間違われたりもして、
症状からの発見はなかなか難しいことがあります。
かなり重症になってくると元気喪失しておとなしくなったり、
お腹を痛がったりすることもあります。

乳腺の腫れは子宮系の病気になったことで
ホルモンバランスが崩れることで起こってくるようです。
やがて乳ガンへ進行することもあります。

子宮が腫れてくると太ったようになることがあります。
体内で子宮が肥大してきている結果です。
それにより腸を圧迫するので腸内の流れが悪くなり食欲不振になってしまうこともあります。
しかしホルモンのバランスの崩れからなのか反対に一時的に食欲が過剰になったり、
凶暴になったりすることもあります。

出血に関しては尿路結石や膀胱炎が原因の血尿だと間違われたり、
ウサギでは無い生理だと勘違いされることさえあります。
怖いのは子宮内(体内)で出血しているのに
外部、体外に漏れ出ないことがあることです。
それは子宮や膣などが「よれてしまっている」ことや
腫れていることで圧迫されて流れ出ないことが原因になります。
その場合だと子宮内でどんどん出血がたまってしまい、
子宮が破裂する危険性がより高まります。
出血を見るときはすでに悪化している場合も多く、
すばやく治療を受ける必要があります。
同時に膿みのようなものを尿と同時に排泄することもあり、
これは見た目だけではカルシウム尿との違いを判断するのは難しいかも知れません。

メスのウサギで血尿が見られた場合は、
子宮からの出血も疑ってみることが必用だと思います。

原因

何故ウサギに子宮系(生殖器系)の病気が多いのか?いくつか説があります。
発情することが多いウサギですが、
エストラゲン(女性ホルモン)の過剰によるものと言う説があります。
過発情や、想像妊娠、偽妊娠を繰り返すウサギほど、
子宮系の病気になる確率が高いかも知れません。
出産を経験すると確率が低くなるという説がありますが、
実際は確率はほとんど違いは無いと言われています。
ウサギの種類により子宮ガンの発生率が違うと言う統計もあり、
遺伝的なものも関わってきているのはないか?と言う説もあります。

診察、診断

獣医師による診断は、
最初に触診による診察が行われます。
ウサギの診察に熟練した獣医師ならば、
この段階で子宮の異常を発見できる確率が高いです。
と言うよりも触診が一番子宮の異常を発見しやすいかも知れません。
しかし、すでにかなり炎症や出血を起こしていたりして、
子宮が大きく腫れている場合、
触診で子宮が破裂してしまうこともあり、触診と言う基本の診察でさえ危険が伴います。

その後レントゲン検査やエコー検査になりますが、
それらの検査では重症になっていないと発見しにくい場合がほとんどです。
つまり初期段階での発見、それに適応した治療は困難だと言うことです。
実際に、2才程度で何も症状もなく元気で、
色々な検査で何も異常を発見できなかったウサギが
避妊手術を受けたところすでに子宮ガンに侵されていた・・・
と言うような例はたくさんあります。


子宮疾患の種類

子宮疾患にはいくつか種類があります。
代表的なものをあげています。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜にポリープができます。
過発情を起こすことでより発症率が高まるとも言われています。
やがて子宮ガンへ進行することがあります。

子宮蓄膿症

子宮内に膿がたまります。
その膿からパスツレラ菌が検出されることもあります。
抗生剤による内科的な治療を試すこともありますが、あまり効果的ではないとされています。
のんびりしていると子宮破裂の危険性が高まります。

子宮が腫れて破裂を起こしやすいということから、
子宮系の病気の中でも緊急性を要する危険な病気だと思います。

子宮水腫

子宮内に水がたまります。
水腫の発生率は低いとされています。

子宮ガン

メスのウサギにとても多い病気で
放っておくと長くて約2年程度で死に至ると言われています。
進行の程度や年齢による違いもありますが、
実際には平均的に1年程度が限界のように思います。

また子宮ガンは肺に転移することが多く、肺ガンは外科的な治療もできなくなります。
その他でも、膀胱、肝臓等にも転移することもありどれもとても危険な病気です。
また、初期段階でのガンを摘出できれば良いですが、
進行していると手術によりかえってガン細胞を転移させてしまうこともあります。


子宮疾患の治療

子宮疾患の治療はどの病気にせよ
基本的には外科的に摘出を行うのが一番の解決策ではないかと思います。
子宮蓄膿症の場合、抗生剤による内科的な治療を試す場合もありますが、
長期間、時間がかかることが多く、
その間に子宮破裂の危険と隣り合わせとなります。
内科的な治療は高齢のウサギで、手術が難しい場合にのみ適応かも知れません。


子宮疾患の予防

ウサギの子宮疾患は
正しく避妊手術を受けることで100%予防できます。

手術以外では
発情を抑える薬をカプセルに入れたものを首筋に埋め込む方法もあるとされていますが、
かえって子宮蓄膿症などを起こしやすくなると言う説もあります。
ウサギに使用することの安全性も確立されていないこともあり使用されることはまれです。

その他、避妊手術以外で予防策は無いのが現実だと思います。


うさぎの避妊手術

では、ウサギの避妊手術はどのようなものなのでしょうか?
我が家のウサギ達で経験したこと、
獣医さんや、ウサギ関係のお友達にうかがったこと、
専門書などで調べ勉強したことを元に避妊手術はどのようなものなのか?
それに伴う注意点を混ぜて書き出していきたいと思います。
難しくて分かりにくくならないように
薬の名前とか器具の名前や専門的な用語などはできるだけ使わないようにしました。
避妊手術の流れとしてはだいたいこのようなものですが、
動物病院、獣医さんによっても違いがあり、
ひとつの例として書き出しています。
必ずしもこれがベストだとは言い切れないことを最初にご理解ください。


避妊手術の流れ

避妊手術はだいたいこのような形で進んでいきます。

避妊手術の成功率

避妊手術の成功率は、
獣医師の勉強の度合い経験や手腕、運までかかわってくると思います。

いくつか統計があります。
もちろん動物病院や獣医さんの違いでも変わってきますが、
ウサギの治療がきちんとできる獣医師ならば、
成功率は約99・5%以上だと言われています。
200匹のメスのウサギが避妊手術を受けて、
1匹以下で何らかの事故なりで亡くなる可能性がある計算になります。
事故を起こすことの原因として、
子宮系以外にも何らか他の疾患を持っていることが
事故の原因になる場合も多いので、
その0・5%に入らないためにも、
避妊手術を受ける場合は事前にきちんとした検査を受けることも重要です。

まず最初に、どのような獣医さんに手術をしていただくのか?
事前に良くお話しを聞くなど、見極める必要もあると思います。
手術自体は犬猫の避妊手術ができる獣医さんならばウサギでも同じように行える、と言われます。
手術としてはウサギだからと言って特に難しいとは言えないようです。
しかし、犬猫とは麻酔の使用法などが違うところがあったり、
薬でも使えないものなどが多くありますので、手術の技術以外にもウサギ専門の知識が必要となります。

反対に言えば、その知識的な部分を我々飼い主側が勉強し、事前に知っていれば、
大切な愛ウサギの手術を安心して任せられる獣医さんなのか?
見極めることのひとつの目安になることもあると思います。
重要だと思われるところには下線を入れてみましたので、参考になさってください。

適応年齢

後6ヶ月以上から、とされていますが、
1才以上、2才未満が一番安全な年齢だと言う説があります。
大きさや種類、個体差もあるのですが、
しっかりと成長が、特に性成熟が終わる年齢になってからの方が
より良い時期だと言うことです。

年齢が高くなると、体内の内臓脂肪や皮下脂肪が多くなり、
手術がやりにくくなることから
生後6ヶ月ぐらいの若い方が良いとも言われています。

術前の検査

避妊手術、術前にはいくつかの検査を行います。
必用に応じて血液検査やレントゲンの検査をします。

血液検査

血液検査を行います。

血液検査は、色々な情報が分かり、
避妊手術以外での手術でも、術前に行う検査の必須なものです。

重要なもののひとつとしては「血糖値」があります。
血液検査の表に
「グルコース」または「GLU」
と表示されている部分です。
単に緊張から高めになる場合もありますが、
血糖値が高いと、麻酔にかかりにくく、醒めにくい傾向にあります。
血糖値が高い=肥満であある、場合も多く、
食生活の問題がかかわってくることもあります。
麻酔の薬は体内の脂肪分に吸収されやすいので、
そうなると麻酔の覚醒や抜けが悪くなったりもするそうです。
さらには肥満だと皮下脂肪が多くなり、切開がやりにくくなるところもあるようです。

 このような血液検査の表があります

肝臓の状態は
「GOT」「GPT」「ALP」
となっている項目です。
ALPに関しては、1才未満ぐらいの幼年期にはやや高めに出ることがあり、
異常な値を示していなければやや高めでも問題がない項目です。

腎臓の状態は
「BNU」「CRE」
となっている項目です。

その他の検査

1才前後のウサギだとそれほど重要では無いかも知れませんが、
2才以上、高齢のウサギが避妊手術を受ける場合は
血液検査以外にもレントゲン検査やエコー検査を行った方が良いと思います。
高齢になればなるほど、見た目ではなんともなくても、
すでに子宮疾患にかかっている可能性が高いので、それの確認をするための検査です。

麻酔

麻酔のかけかた、麻酔薬の種類や使用量などは、
獣医さんそれぞれの考え方や、好みや趣味にまで渡ることもあり、
この方法でなければいけないと言うものではありません。
通常、注射による麻酔と吸入のガス麻酔を兼用します。
注射による麻酔も数種類をミックスして使う場合もあります。

麻酔中に危険なこととして呼吸停止があります。
麻酔導入時もですが、覚醒時にもそのような呼吸数が落ちてしまうこともあるようです。
すばやく対処しないと回復しないこともあります。
術中は呼吸や脈拍にも注意する必要があり、
そのために心電図や血圧計をつけて常時モニターをしています。

以前はウサギでは「難しい」「無理」だと言われていた
口から気管支へチューブを挿管して、直接ガス麻酔や酸素を送ることができる
「気管挿管」ができる動物病院が増えてきました。

これにより麻酔中で危険な呼吸停止が少なくなり、
または停止したとしてもすばやく対処できるようになり、
麻酔の安全性が格段に高くなったと言えるでしょう。

切開

最初にお腹の部分の毛を刈り、お腹の真ん中の縦の線に沿ってメスを入れます。
その部分は神経や血管が少なく痛みや出血が少ない部分なのだそうです。
サイズは、ウサギの大きさにもよりますがだいたい3センチ程度です。
切開する長さが短いほど良いように思えますが、
短ければ良いとも簡単には言えないと思います。

 子宮蓄膿症の手術跡
 避妊手術よりも広く大きく切開されています

特に2才以上になるウサギでは、
術前の検査では何事も見つからなくても、
すでに子宮に何か異常がある場合も考えられ、
狭い場所から子宮や卵巣を引っ張り出して切除しますが引っ張り出すことで破裂や、
子宮ガンの転移を促進してしまうようなことも考えられて、
高齢になるほど広く切開することがあります。

避妊手術の方法には・・・

卵巣だけを摘出する方法と、
卵巣と子宮を摘出する(全摘)方法があります。

この違いはとても重要ですので次ページでさらに詳しく考察します。

縫合

切開した部分を縫合(縫う)します。
どのように縫合するのか、
どのような種類や太さの糸を使うかも、

獣医師の考え方や好みで決まるようです。
これもどれが正しいとか間違っているとか簡単には言えません。

一般的な方法としては
切開した奥の部分(腹膜)の部分を
そのまま放っておくと溶けてしまう糸(吸収糸)で縫合し、
外の皮膚の部分を強いナイロン製の糸で縫合する方法が多いかと思います。
その他では鋼線と言われるステンレス製のものや、
今ではもう使われることはほとんどないようですが絹糸を使うこともあります。
吸収糸は以前は炎症を起こすとか弱いとか(切れる)問題がありましたが、
最近は丈夫で炎症も起こしにくい糸も開発されてきています。
溶けてしまう糸は抜糸がいりませんが、
皮膚を縫合したナイロン糸は、
だいたい術後1週間から10日前後で抜糸となります。

その他、ウサギは切開した部分から
ヘルニアを起こしやすいと言う理由から内部もナイロン糸で縫合する方法や、
エリザベスカラーが必要ないと言う理由で
皮膚の部分は、ホチキスのようなもの「ステープラー」で止める方法もあります。
この縫合についても注意したい点があり、次ページで考察します。

入院

入院は動物病院の方針や、
先生のお考え方で違いますが、
何事もなければだいたい1泊2日程度で済みます。
食欲が回復するまで入院させると言う方針の動物病院が多いので、
食欲が戻らないともう少し長くなる場合もあります。

術後は状況によって点滴や保温を行います。
保温することで麻酔からの覚醒も早くなりますし傷の回復も早くなります。
ただし温めすぎるてしまうし熱中症を起こしてしまうこともあり、
そのために死亡した例も存在します。
保温は十分に注意して、入院中だけでお任せするか、
自宅では獣医師の指導の元に行うようにしてください。

 エリザベスカラーを着けて入院中
 麻酔から覚醒したばかりで
 まだボーっとしています

抜糸

だいたい術後1週間から10日間ほどで傷口はくっつきますので、
そうなると抜糸になります。
抜糸には麻酔や鎮静は基本的に必要ありません。

抜糸が済むと避妊手術は無事に終了となります。


避妊手術の画像

 ひよちゃん
 1才になったので避妊手術を受けました

ひよちゃんは1才になったところで避妊手術を受けました。
飼い主さんであるひろみさんと、
獣医さんのご協力により手術の画像を提供していただきました。
ひよちゃん、ありがとう!

注意!
手術の画像なので苦手な方はご覧にならないようにしてください!

避妊手術の画像


避妊手術を受けるにあたり

どのようなことを注意したら良いでしょうか?
次のページでは飼い主として、どのようなことを注意したら良いのか?
細かく考えていきたいと思います。


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