うさぎの子宮疾患と避妊手術
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飼い主として注意したいこととは?


うさぎが避妊手術を受けるにあたり
 注意した方が良いこととは?

ウサギに避妊手術を受ける場合に何を注意すれば良いでしょうか?
技術的には難しい手術ではないと言われますが、
やはりお腹を開く手術となるので、
事前にきっちり調べて避妊手術とはどのようなものなのか?
知っておいた方が良いのではないかと思います。

避妊手術の流れとしては前ページで書き出しましたが、
それぞれについての注意点を考えていきたいと思います。


避妊手術を受ける年齢

1才以上2才未満が最適だと思います。
体力的にも一番元気な時期で、
麻酔や手術自体のリスクにより耐えられる年齢だとも思います。
2才以上になるとすでに子宮に何らかの疾患を持っている可能性も高く手術の危険度が高まります。
例えば子宮ガンがあったならば手術によりかえって転移を促進してしまうことさえもあります。
また高齢になると体内の脂肪が増えていることもあり手術が難しくなることもあるようです。
動物病院のよっては2才未満だと手術料金の割引をしているところもあります。

ウサギは、種類や大きさにもよりますが1才程度まで成長します。
6ヶ月から手術は適応だと言われますが、
身体がきっちり成長が終わってから、できるだけ1才を過ぎてからの方が良いと思います。

2才以上でも、もちろん避妊手術はできます。
その場合はすでに子宮疾患になっている可能性が高くなってきている年齢になるので、
術前の検査をより注意深くお願いする方が安全かと思います。

避妊手術は年齢が高くなればなるほど、
すでに子宮に疾患を抱えてしまっていることも多くなります。
麻酔や傷の回復にも時間がかかるようになり全体的なリスクが高まります。
手術を受けるならばできるだけ1才から2才未満までにご決断されることをお勧めします。

季節はいつが良いのか?

避妊手術を受ける季節はいつが良いのか?ですが、
結論から言うといつでもかまわないと思います。

春、秋は良さそうに思いますが、
寒暖の差や気圧の変化が激しい時期で、
ウサギはそのような変化に弱いところもあります。
その時期に具合が悪くなるウサギも多いです。
夏は気温が高いので保温する必要がありませんが、
反対に熱中症に注意が必要だったり、
細菌が繁殖しやすい時期だったりもします。
冬だと保温に気を使います。
それぞれの季節には良し悪しのようなものがあります。

手術後、帰宅して自宅での看護のことを考えて
飼い主さんが数日のお休みが取れる時期もお勧めです。
退院後数日は何かあったときにすぐに対応してもらえるように、
動物病院のお休みの日にかからないようにするとか、
獣医さんともご相談の上それぞれ予定を考えてみられると良いと思います。

避妊手術の予約を取る

避妊手術は緊急性を要する手術ではないので普通は事前に予約する形となります。
事前に飼い主さんだけで動物病院へ行かれて
獣医さんにご相談なされても良いかと思います。
念のためにウサギの健康診断を受けるとなお良いと思います。


術前の検査は何をお願いしたら良いのか?

年齢にもより、どのような検査するかは違ってくると思います。

血液検査

血液検査は隠れた病気を発見できる場合もありますし、
麻酔や手術に耐えられる体なのかどうかを知ることもできますので、
できるだけしていただいた方が良いと思います。

採血は普通、耳、または前足や後ろ足から行います。
血液検査は手術当日にしていただくので良いかと思います。
手術の数日前でも良いですが、
通院の回数が増えてしまう欠点があるかと思います。
また、当日ならできるだけ新しい検査結果を知ることもできます。

血液検査で注意したいのは、
麻酔前にしていただけるかどうかです。
時々
『麻酔をかけてから採血して検査します』
と言う獣医さんがいらっしゃいますが、
血液検査が必用な理由として、
その麻酔に対して安全かどうか確認するためにするので
それだと意味がなくなってしまいます。
できるだけ麻酔前に血液検査をしていただけた方が良いと思います。

血液検査は色々な項目があり、
腎臓や肝臓などの状態が分かる検査項目があります。
どのような項目の検査をするのか?
事前に獣医さんにお聞きしておいた方が良いでしょう。
基本的に避妊手術で必用な項目としては、
血糖値や肝臓、腎臓の値のあたりが重要だと思いますが、
せっかく採血するのですから細かめの検査をお願いするのも良いと思います。

レントゲン検査

1才から2才未満のウサギならば
血液検査以外は事前にレントゲン検査などは
必ずしなければいけないとは言えないと思います。
高齢になるとすでに子宮に何らかの疾患がある確率が高くなってきますので、
レントゲンやエコー検査など、
術前の検査はより念入りにお願いした方が良いかと思います。

しかし術前に血液検査やレントゲン検査などを行っても
子宮疾患があるかどうか見つけれないこともあります。
高齢になってくるとそのような検査では分からない
子宮疾患にすでになっていることも多く、
「開けてみないと分からない・・・」
つまり、手術して開腹してみないと分からないことも多いです。


術前に注意したいことは

術前にご家庭で注意したいことは、
特に神経質になることは無いと思いますが、
何らかの体調の異変を見つけることはもちろん重要だと思います。
食欲不振には注意しないといけませんが、
手術になるんだからと体力をつけておこうと考えて過剰に食べさせ過ぎてしまい、
肥満にさせてしまわないように注意された方が良いでしょう。
肥満になると血糖値が高くなってしまうこともあり、
そうなると麻酔にかかりにくく、醒めにくいようになってしまいます。
また、麻酔薬は体内の脂肪分に蓄積されるので、
肥満だとより麻酔のリスクが高まる可能性もあります。
避妊手術を受ける1ヶ月ぐらい前には、予定などをご相談することもふくめて、
事前に健康診断を受けておくことも良いと思います。

手術の前の絶食はウサギの場合必要はありません。
反対に絶食させてしまうと、お腹の動きが止まってしまって、
術後の食欲の回復が遅くなってしまう可能性もあります。
ただし、術前直前に食べていると口の中に食べ物のカスが残って、
それが気管支へ詰まってしまうことがあると言われていて、
術前の2時間程度は食べさせない方が良いとの意見もあります。
手術当日は動物病院内での検査や術前の支度などもありますので、
その待ち時間として2時間程度は食べない時間があると思うので
その点はご心配はいらないと思います。

日頃の食事内容について麻酔や手術のリスクを軽減する意味でも野菜主食がお勧めです。

(野菜主食については「うさぎにとって健康的な食生活とは?」をご覧ください)

日頃から乾燥した食生活(ペレットや牧草のみのような)を続けていると、
飲み水を飲んだとしてもどうしても水分が足りなくなっていて、
軽い脱水状態が続いているようなことになり、
そうなると血液が濃くなってしまい、いわゆる血液ドロドロ状態になりやすくなります。
麻酔をかけたり、お腹の切開をしたりすると、血圧が急に上下することがあり
心臓に少なからず負担がかかってしまいます。
その場合に血液がドロドロだとさらに負担が高まることになります。

またはっきりとした根拠のようなものは分かりませんが、
野菜を主食にしているウサギさんの方が、
術後の傷の治りが早かったり、炎症を起こしにくかったり、
手術のために刈ったお腹の毛が早く生えてくる、
と言うようなことがあります。


麻酔

開腹手術となりますので全身麻酔となります。
ウサギの麻酔は危険だと言われます。
それはウサギが麻酔に弱いからだとも言われますが、
反対に麻酔に対する耐性が強いからだとも言われることもあります。
つまり麻酔が効きにくい体質を持っているので、
より強い麻酔を必要とされるのでリスクが高まる、と言う説です。
上記しましたが、個人的にはペレットや牧草ばかりの乾燥した食事内容も、
ウサギが麻酔に弱いとされる一因ではないかと思っています。

また、ウサギは恒久的な続く痛みには強いところがあり、
反対に急激な痛みに弱いところがあるように思います。
麻酔から覚醒したときに突然に手術による痛みを感じてしまい呼吸が止まってしまうこともあるそうです。
痛みにより急激に高血圧になってしまい脳血栓を起こしてしまったり、
麻酔は導入時よりも覚醒時の方が危険度が高いとも言われることさえあります。
ペインコントロールなどと言いますが、手術の痛みには注意する必要があり、
そのために予め痛み止めを使うなどの工夫をすると麻酔の安全性が高まるとも言われています。

麻酔薬の種類などについては、
教科書に記載されている基本のようなものはありますが、
獣医さんの考え方などで多少違ってきます。
どれが正しくどれがいけないとは簡単には言えません。
興味がおありならばどのような麻酔薬を使うのか?
獣医さんに聞いてみるのも良いと思います。
だからと言って麻酔の種類を変えてほしいとか簡単にお願いできるものでもないですが、
そんなコミニュケーションも大切だと思いますし、
インフォームドコンセントがきちんとできる獣医さんならば喜んで教えてくださると思います。

麻酔をかける直前に高濃度の酸素を吸入させることもあります。
そうすることで血液中の酸素濃度が下がりにくくなり、
麻酔からの回復が早くなることもあるようです。

麻酔は、その他の手術や縫合全てにおいて同じですが、
技術的なことや事故の確率などは
獣医さんの知識と共に経験に左右されることも大きいと思います。
麻酔の種類や量などは、手術にかかる時間や、
どのような手術なのかで変わってきます。
単なる避妊手術の場合は時間なども予測がつき、
ギリギリの深さで麻酔をかければ済みますので、
術後の覚醒も早いですし、回復も早くなりますが
それも獣医さんの経験により変わってくると思います。

前ページでご紹介した口から直接気管支へチューブを挿管する
気管挿管による、ガス麻酔や酸素を送る方法が
ウサギにもできる獣医さんがいらっしゃいます。
一般的にウサギの気管挿管は難しいとか無理とか言われていますが、
実際は、慣れてしまえばそれほど難しいものではないそうです。
気管挿管ができれば麻酔の安全性がより高まると思いますが、
できる獣医さんはまだそれほど多くないと思います。

血液検査にも関係してきますが、
血糖値が高いと麻酔のかかりや覚醒が悪くなります。
血糖値は病気以外でも肥満でも高くなります。
日頃から健康管理、食事管理をして、
肥満にならないように注意しましょう。
手術なのだから体力をつけようと、
術前に食べ過ぎさせて、肥満にしてしまわないように健康管理には注意しましょう。
肥満の状態については見た目や体重だけでは分からない内臓脂肪の状態も重要なので、
事前に健康診断をお願いしてご相談なさっておくとより良いと思います。

術後、吸入のガス麻酔を止めるとまだ半分眠っているような状態ですが、
10分程度で麻酔から覚醒しはじめます。
個体差も大きいですが、
すぐに食べ物を食べ始めたりすることもあります。
完全に麻酔が抜けるのはだいたい1日以上必用かと思います。


手術

手術については、
注意してほしい重要なことがひとつあります。

「卵巣のみの摘出」であるのか?
「卵巣と子宮、両方の摘出(全摘)」であるのか?

どちらの手術方法を取られているのか
獣医さんに事前に必ず確認しましょう!

卵巣を摘出するだけでも女性ホルモンが無くなるので
子宮疾患になる確率は下がるのですが、
体内に残された子宮がのちに「子宮ガン」になった例が何例も存在して、
子宮疾患になる確率は「0%」にはなりません。
手術自体はその方が簡単であり、
それ故に安全だと言われたりもするのですが、
繁殖をさせないと言う意味以上に、
せっかくの子宮疾患の予防の意味もある避妊手術であるのに、
それでは意味がなくなってしまうと思います。

年齢によってどちらかを選択する獣医さんもいらっしゃいます。
高齢ならば卵巣子宮の全摘で、
若い場合は卵巣のみの方法を取られる場合もあります。
若いから大丈夫だと言われたりもしますが、
やはり安全のことや将来のことを考えると両方の摘出の方が良いと思いますし、
せっかく開腹をしてまでの避妊手術なので、
両方の摘出をしていただいた方が良いのではないでしょうか?

後に、体内に残された子宮が何らかの疾患になった場合、
その後再度開腹手術をしなければならなくなることもあります。
また避妊手術をしている、と言うことで
『子宮も摘出しているはずだ』
と思い込んでしまい処置が遅れた例もあります。
どちらの方法を選択するにせよ、
卵巣のみの摘出で体内に子宮が残っているのか?
両方摘出の全摘であるのか?
きちんと把握しておいた方が良いと思います。

卵巣のみの摘出の手術方法を取られる動物病院は
日本国内でもですが、世界的に見てもかなり少数派のようです。
ほとんどの動物病院では卵巣子宮の全摘を行っていますが、
卵巣のみの摘出方法を取られている動物病院は存在します。
どちらの方法が良いと思われるかは
それぞれ皆様のお考えにもよるとも思いますが、
とても重要なことなので事前に必ず確認されることを強くお勧めします。

病理組織検査

摘出した卵巣子宮に見た目で何らかの異常を見つけたときには
その摘出したものを病理組織検査に出すこともあります。
ガン細胞などがないか?等の検査となります。
2才未満のウサギならばまず問題は無いと思いますが、
2才以上ならば念のために検査に出していただくのも良いかも知れません。


縫合

縫合についても、
どのような方法で、どのような糸を使うか?
などのことは獣医さんのお考えや好みで変わってきます。
どの方法が正しくて、どの方法が良くないのかは、
簡単には言えません。

一般的には前ページでも書きましたが、
体の内部、腹膜などはそのまま放っておくと溶けてしまう
「吸収糸」で縫合し、
外側の皮膚の部分を強いナイロン製の糸で縫合します。
簡単の良し悪しは言えないと思いますが、
その方法が一番無難かと思います。
体の内部の部分までナイロン製の糸や
ステンレス製の糸で縫合する場合もありますが、
後で「引きつれ」のようになったりする場合もあります。
ステンレス製の糸を体内に残すと
後にレントゲンやエコー検査がやりにくくなる
と言う支障もあったりするそうです。

どの方法が良いとも言えないところもありますが
ただし手術の方法と同じく、
事前に確認された方が良いと思うことがひとつあります。
縫合に縫合糸を使うのではなく、
ホチキスのようなもの「ステープラー」を使うことがあります。
傷口をガッチリ止めるので
齧ってしまって取ってしまうこともできないので、
エリザベスカラーが必要ない、とされています。

しかし現実には、その齧り取れないはずのステープラーを自分で齧り取ってしまい、
傷口が開いてしまったり、炎症を起こしてしまう例があります。
ステープラーを自分で齧り取ってしまうのは珍しい・・・
と言われたりもしますが、
実際にはそのようなお話しは多く聞きます。

傷口が開いてしまったり炎症を起こしてしまうと
傷口がくっつくのに時間がかかってしまったりしてやっかいなことも多いです。
ステープラーでの縫合にすること自体は特に深く問題は無いとは思いますが、
エリザベスカラーを着けない方針は個人的にはあまりお勧めしたくはありません。

 エリザベスカラーを着けていても
 ちゃんと食事を摂ることができます

エリザベスカラーは
食事を摂りにくそうにしていたり、
食糞も食べにくくなり、軟便でケージ内が汚れたり、
見た目にもかわいそうだ、と言うようなことからウサギの飼い主には不人気です。
しかし一生のうちのたかが10日前後ですし、
安全を考えてきちんと着けておいた方が良いと思います。
ウサギも意外にすぐに慣れてしまい、なんとか順応してくれるものです。
また、その大きさをうまく調整すれば、
食糞もできて、日常生活に支障は起こりません。


入院

入院についてもそれぞれの獣医さんのお考えにより期間などは違ってきます。
早く退院させたいのは山々ですが、
食欲が回復していたり、脱水状態がないとか、
きちんとしてから退院した方が安全だと思います。
早ければ1泊2日程度で退院できます。

 ひよちゃん、入院中

入院するケージの隣などに
犬猫がいたりすることをご心配される方もいらっしゃいますが、
ウサギは案外そのようなことを気にしません。
あまりうるさいのも問題だと思いますが、
必用以上にご心配はいらないと思います。
もちろんいつもと違う環境におかれて、
ストレスもかかると思いますが、
それも思ったよりもウサギは平気にしていますし、
あまり気になさる必用はないと思います。


退院後 自宅看護

退院後、一番気をつけたいのが食欲だと思います。
ウサギは食欲を無くすと色々な弊害が出てきます。
食欲が回復したのを見てから退院させてくださる方針の
動物病院は多いかと思いますが、
退院帰宅後に食欲がなくなったりした場合は、
すぐに獣医さんに連絡を取りましょう!
その他、何かおかしいとか、気になるような点があったら、
すぐに獣医さんに診ていただきましょう。

術後に体を温めてあげると麻酔や傷の回復が早くなります。
しかし温めれば良いと単純に思い込み、
ご家庭でむやみに温めすぎて、
温度が高くなりすぎて熱中症を起こしてしまった例もあります。
熱中症になってしまうと多臓器不全を起こしたりして
かなりの確率で死亡するような危険な状態になります。
保温や温めることについては、どのようにしたら良いか、
獣医さんにご相談なさってから行うようにしてください!
温熱療法と同じよう温めてみるのも良いと思います。

エリザベスカラー使った場合には、
食事が摂りにくくなったり、食糞をしにくくなって、
ケージ内などを汚してしまうこともあります。
体についた汚れは傷がまだきちんとくっついていない可能性もあるので、
無理に洗うなどはしないようにしましょう。
食事については深い皿を使わずに、
浅めの皿に入れてあげるなど工夫をなさってください。

その他何かいつもと違うようなことを見かけたり感じた場合には、
「このぐらいのこと、大丈夫かな?」
と思われずに、すぐに獣医さんにご相談しましょう!

抜糸

抜糸は手術後、約1週間から10日ほど後になります。

 傷口
 お腹の部分の毛が刈られています

傷口がきちんとくっついているか?
炎症とか起こしていないか?確認して抜糸となります。
抜糸は普通無麻酔で行えます。
抜糸が済むと避妊手術も無事に完了となります。

炎症止めのような飲み薬を処方されることがあります。
薬の飲ませ方は獣医さんに教えていただきましょう。
または「薬の飲ませ方」をご覧ください。

その後

避妊手術後、女性ホルモンは約一ヶ月ほど残っています。
オスのウサギと一緒の場合は
オスの発情には注意した方が良いでしょう。
しばらくは食が落ちたりしないか、
注意は必要ですがそれほどご心配はいらないと思います。

避妊手術を受けて子宮にガンが見つかった場合や、
はじめから子宮ガンを摘出する目的で手術を受けた場合には、
術後半年から1年後に肺等に転移することもあります。
術後1年を過ぎても転移が見つからなければ、
その後の転移する確率はぐんと下がると言われています。
その術後の1年間は定期的に診察を受けておくことも必用だと思います。

避妊手術後の問題点 注意点

健康管理に関しては特に注意した方が良いところはないですが、
避妊手術を受けると肥満になりやすい傾向はあります。
食事量や内用には以前より注意してあげた方が良いと思います。
しかし肥満に関しては避妊していないウサギでも同じで、
避妊しているから、だけではなく太りすぎには注意した方が良いことです。

避妊をするとホルモンのバランスが崩れて毛艶が悪くなる
と言われたりすることがありますが、それは実感としてはあまり感じられません。
性格的におとなしくなったりするとも言われますが、
確かにカクカクは減ったり、しなくなったりするので、
その意味ではおとなしくなったように感じることもあるかと思いますが、
個体差もあり、ほとんど変わらないような気もします。
太ると出てきますが(なので肥満の目安にもなったりもします)
肉垂れは無くなる、またはあっても小さくなります。

もちろんですが発情はなくなるので、
偽妊娠はなくなります。
自分で自分の毛を抜いて巣作りをするようなこともしなくなります。

避妊以前より肥満になりやすいとか多少変わることもあると思うのですが、
うちのウサギ達を観察していてもほとんど何も変わらないと言うのが実感です。
100%子宮疾患にはならないことだけが大きく変わった点でしょうか。

手術料金

避妊手術にかかる料金は
動物病院は自由診療なので病院によって料金はさまざまです。
事前にきちんと獣医さんにどのぐらい予算がかかるか?
お聞きしておくと良いと思います。
目安としてはだいたい2〜8万円ぐらいでしょうか。
安ければ良くないとも言えませんし、
高いから技術が良いとも言えないかと思います。

また血液検査やその他レントゲン検査の料金が加算されますし、
入院が長引けばその分の入院費用もかかります。
最初の見積もりよりもかかる場合も多いと思いますので、
予算は少し余裕を持っておいた方が良いかと思います。
必要以上の検査は必要ないですが、
ケチって検査を受けないのも良くないと思います。
また避妊手術として手術を始めたけれど、
お腹を開いてみたらすでに子宮に何らかの疾患が見つかった場合、
手術が難しくなるような場合に料金が加算される可能性もあります。
避妊手術ではなく子宮疾患治療のための外科手術となるとまた料金は違ってきて、
検査も色々と必要になってきたりしますので、
単なる避妊手術の5〜10割増しぐらいになる可能性もあると
思われておいた方が良いでしょう。


事前に獣医さんに質問したいこと

以上のようなことを事前に獣医さんに質問されると良いと思いますが、
緊張されて舞い上がってしまうこともありますので、
質問事項を事前に書いておいたり、お答えをメモされると良いと思います。
最後にそのような質問すると良いと思われることを
まとめて箇条書きに書き出してみたいと思います。

・避妊手術をしてくださるか?
・事前の検査の有無と種類
 血液検査は麻酔前か?麻酔をかけてからか?
・卵巣と子宮の両方の摘出手術か?
・エリザベスカラーを着けるか?
・入院期間は?
・費用はだいたいいくらぐらいかかるか?

他にも細かいところもありますが、
重要なのはこのようなところでしょうか。
他にも獣医さんにお聞きしたいことがあったのなら
慌てないように事前に質問事項をメモしておくことをお勧めします。

良い獣医さんに巡り会うこと

このページの主題ではないので詳しくは書きませんが、
良い獣医さん、ウサギに詳しい獣医さんを見つけ巡り会うことが
何よりもとても重要なことだと思います。
それには日頃から健康診断などで診ていただいたり、
飼い主側もウサギについて勉強することも大切なのだと思います。
また何か違う、おかしいと感じたなら、
勇気を持って他の獣医さんにも診ていただくこと、
セカンドオピニオンを求めたりすることも必要だと思います。
獣医さんの都合だけで手術の方法や時期やらを決めるのではなく、
飼い主としてもきちんと考えて見極めてほしいと思います。
主導権の全てが獣医さん側にあるのではなく、
飼い主側にもあるのだと言うことも忘れないでほしいことのひとつです。
何よりもウサギのために考えてあげることが大切だと思います。


避妊手術を受けたくない理由
 受けなくても良い理由

避妊手術を受けない、受けたくない理由として、
いくつか言われることがあります。

・肥満になる、毛艶が悪くなる

・元気だから大丈夫!

・毎日体調の変化がないか観察しているし
 定期的に健康診断に通っているので、
 病気になったらすぐに見つけられる。
 病気になったらそのとき対処すれば良いから

・健康な身体にメスを入れることの抵抗感

・麻酔や手術が危険だから

その他獣医さん側が言う理由として。

・流行らない

・子宮ガンになる前にウサギは死ぬから(寿命がつきる)

・(説明はなく)避妊手術はする必要がない

等があります

避妊をすると太りやすい傾向はあるようには思います。
でも避妊をしていなくても食生活の管理が悪いと同じく太ります。
多少管理をきちんとしないといけないかも知れませんが、
それほど心配はいらないと思います。
肥満になるかどうかは個体差も大きいです。

毛艶が悪くなると言われますが、
実際にはそれはあまりないと思います。
コンテストに出すようなウサギなら気になるでしょうが、
病気の予防になることと比較するのはどうでしょうか?

「元気だから大丈夫!」
と言うお考えは当てはまらないと思っています。
元気があり、栄養が豊富なウサギの方が
過発情を繰り返すことが多いですし、
偽妊娠を繰り返すことも多いです。
つまり子宮疾患の原因と考えられている女性ホルモンは
いつも過剰な状況におかれることとなります。
私見ではありますが、
元気なウサギほどそのような理由から
子宮疾患になる確率は高いのではないかとさえ思っています。
反対に、持病があるようなウサギは、
発情をすることが少ないからなのか、
実際にも、具合の悪いウサギほど子宮疾患の確率が
低いような気がしています。

体調の変化に気をつけていても
1ページでもお伝えしてきましたが、
初期症状の段階で子宮疾患を見つけることはかなり難しいです。
出血を発見して慌てることが多いのですが、
出血するときにはすでにかなり悪化していることがほとんどです。
避妊手術を受けていないメスのウサギが血尿をした場合は、
必ず子宮系の病気を疑ってみた方が良いと思います。
その場合すばやく対処しないと危険なこともあります。

子宮疾患は獣医さんでも早期に発見するのがなかなか難しいことなので、
定期的に通院して健康診断を受けていたとしても、
初期段階で見つけることはかなり困難です。
こまめに健康診断をしているからと言って
安心だと言うこともありません。

出血などで子宮ガンを発見できて、
(避妊ではなく治療と言う)手術をしたとしても、
その後転移の可能性がでてきます。
手術をすることで、反対に転移を促進してしまう可能性さえあります。
もちろん手術しなくてもガン自体が悪化していきます。
子宮ガンは何故か肺に転移することが多く、
肺に転移すると手術もできなくなります。
転移は子宮ガン手術による切除の半年後ぐらいが多く、
術後に1年以上大丈夫ならば、その後の生存率は高くなるようです。
子宮疾患が見つかったときには高齢で手術のリスクが高まったり、
手術自体も無理だったりすることもあります。
そのような意味からも、
子宮疾患になった場合に治療すれば良い、
と言うのもあまり良い考えではないと思います。

健康な身体にメスを入れる抵抗感や
麻酔や手術の危険性を気になるお気持ちは良く分かります。
手術にも麻酔にもいつも少なくとも危険性がつきまとい、
必ず安全だとは言い切れないことだと思います。
事故の確率である0・5%に入ってしまうかも知れません・・・。
うちのウサギは避妊手術を受けていますが、
まず大丈夫だろうと思っていても、
万が一のこともありますし、
無事に手術が終わるまではとても心配でした・・・。

獣医さんが言う避妊をしないで良い理由ですが、
これらのことは実際に飼い主さん方が言われたことなのですが、
正直言ってどれも意味が分からなくコメントできません。
おそらくそのように言う獣医さんは、
ウサギの治療に対して積極的な獣医さんではないのかも知れません。

必要以上に怖がる必用は無いと思いますが、
子宮疾患の危険性を把握することと、手術の危険性を把握すること、
どうすれば良いのか考えるのは、
最初から最後まで飼い主としての責任であり、
避妊手術を受けるのかどうかについても、
決定するのも他の誰でもなく、飼い主だと思います。


まとめとして

メスのウサギの子宮系(生殖器系)が病気になる確率は
とても高く、どれも危険な病気です。
どのような病気も治療以前に予防が大切だと思いますが、
他の病気では例えば歯、不正咬合等は、
いくら歯に良い食生活などをしていても絶対に予防できるとは言えません。
でも子宮疾患については、
正しく避妊手術を行えば100%予防ができる病気です。
手術と言うリスクが高い方法ではありますが、
選択肢として考えておく必要があるのではないかと思っています。

我が家のメスのウサギ達も
(我が家のメスのウサギ達   
ほとんどが子宮系の病気にやられました。
子宮ガン摘出の手術をした後に肺に転移して亡くなった仔もいて、
二度とそんな思いをさせたくないし後悔もしたくありません。
そのような理由からも今いるメスのウサギも、
1才の誕生日を迎えてすぐに避妊手術を受けました。
2007年5月現在3才になりますが、
子宮ガンをはじめ、色々な子宮系の病気には「絶対にならない」
と言う安心感を持つことができています。

ウサギのこと全般に及ぶと思いますが、
子宮疾患や避妊手術についても
色々な情報が錯綜していると思います。
元気だから大丈夫だとか、
麻酔や手術の危険性ばかり大きく伝えられ、
怖いと言う感情論ばかり先走ってしまったりして、
現実が見えてこないことさえあると思います。

うさぎの避妊手術について、
獣医さんやウサギ関係のお友達に教えていただいたこと、
経験したり勉強したり調べたことを元に、
タブー視をしてはいけないと言う考えを基に、
できるだけ具体的客観的に、
感情的な表現を控えるように書き出すようにしました。
これらが全て正しいと言うことではないですし、
今現在理想的だと思えることを書き出していて、
私見が入っている部分もあることをご了承ください。

ウサギの避妊手術については
良いとか悪いとか簡単に言い切れるものではないかとは思います。
メスのウサギにかなりの高確率で起こる子宮系の病気について知っていただいて、
その上で避妊手術についても
皆様それぞれにご自分で考えていただきたいとの願いから
ひとつのきっかけになれば良いとの想いから
このページを作らさせていただきました。


うさぎの子宮疾患と避妊手術

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